松沢呉一のビバノン・ライフ

本筋は権利侵害にあり-厄介な「レイシストカウンター」批判 6(松沢呉一) -2,888文字-

クラウドファンディングを検証する 1-厄介な「レイシストカウンター」批判」の続きですが、前回登場の映画関係者との対話は「クラウドファンディングを検証する 2-厄介な「レイシストカウンター」批判 7」に続きます。

 

 

「レイシストカウンター」は封印

 

vivanon_sentenceこちらをご覧ください。昨日、わたなべりんたろう監督はあと一回の上映で「レイシストカウンター」を封印すると発表しました。これに対する批判もあるのですが、とりあえず、これで落ち着くみたい。針のむしろ状態の方々もいらっしゃいましょうけど、よかったですね。

直接にはわたなべりんたろうからの返事をもらえていないのですが、本人の意思は代理人を介して伝えられておりまして、こちら側が問題としていた点を踏まえての封印であり、あとのことは権利者との交渉ということになります。私としてはやりにくなってしまったのですけど、解決に向かっているため、以降は、今現在、表に出ていることの範囲で説明をしていこうと思います。

前回のクラウドファンディングについての説明の続きはとっくに原稿ができていたのですが、次回に回します。

 

 

問題の本筋は権利侵害

 

vivanon_sentenceクラウドファンディングに金を出した人の中から、「これ以降も上映を続けろ」という意見も出てますが、無理です。その理由はわたなべりんたろうの説明の中にも書かれていて、動画および音楽の無断使用があったことは確定です。

「上映を続けろ」と要求することは、「侵害を続けろ」ということに他なりません。「反レイシズムのため、カウンターのため、権利侵害を続けろ」なんてことを言ってはいかんです。人権侵害に対抗するのもいいのですが、同時に著作権も守らないとね。

さらば、ヘイト本!: 嫌韓反中本ブームの裏側あの文章を読んでも、ここにこそ問題があったのだということがわかりにくいかと思います。野間易通の説明でも、著作権についての説明があとになったため、あたかも「くだらない映画だから上映するな」と言ったかのようですが(実際どういう話をしたのかわからん)、私がこの映画に対して「上映中止に追い込まねば」と思ったのは、権利の問題です。関わっていない私としては映画の内容なんてどうでもいいんですよ。

あくまで本筋は著作権侵害であり、そんな映画によってカネ集めをしたことです。

だったら、ファレル・ウィリアムスの「ハッピー」を外して上映すればいいだけだろと思う人もいるでしょうが、始まりも本筋も「ハッピー」ではありません。

「どうしたもんか」と協議している時に木村元彦さんのあの文章が出て、あれよあれよでこういうことに。そっちは権利者の意向があるので、私が勝手に書くわけにはいかず、著作権についてはここまで先送りをしていました。もどかしさを抱えながら、とりあえず、今回は情報が公開された「ハッピー」について書いておきます。

 

 

「ハッピー」の使用はわたなべりんたろうでは不可能

 

vivanon_sentence「ハッピー」の動画は最初から入っていたらしいのですが、ラストシーンなので、私はそこまで行きつけてませんでした。

上映が始まってから人に聞き、ビックリこいて、大量にある「ハッピー」の動画のうち、どれを使っているのかを複数の人に確認しました。ここには出さないですが、観てすぐに「これは無理だろ」と判断できる動画です。

わたなべりんたろうは著作権について「弁護士に相談して問題ないと言われた」と出演者に説明をしているらしい。著作権のチェックをした弁護士は実在していて、なのに、なんでそんなことになったのか(追記参照)。

 

 

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