松沢呉一のビバノン・ライフ

独立映画鍋の対応-厄介な「レイシストカウンター」批判 23(松沢呉一) -[無料記事] -1,938文字-

プレス資料を一挙公開-厄介な「レイシストカウンター」批判 22」の続きです。

 

 

「レイシストカウンター」に対する独立映画鍋の対応

 

vivanon_sentence独立映画鍋のサイトで、「映画『レイシストカウンター』問題に対する独立映画鍋の対応」が公開されました。

 

スクリーンショット 2015-07-11 16.29.00

 

改めて説明をしておきます。クラウドファンディングについては、今回のようなことがあっても、規約上、出資者に対して、Motion Galleryは返金等の責任は負わず、独立映画鍋もそれに準拠することになっています。

しかし、その規約には、「当社又は第三者の著作権、商標権等の知的財産権を侵害する行為又はそのおそれのある行為」は禁止事項に挙げられており、その禁止事項に反する映画で会員が金を集めた場合にも、独立映画鍋は「知りません」で済むのかどうか。

済まないだろうと思いますし、あちらも対応するということでしたので、お待ちしておりました。

それが今回公開された内容です。

 

 

なぜ「著作権侵害があった」と明記しなかったのか

 

vivanon_sentence会としてこのような事態に対応するルールはやはりなかったようです。また、「強制力は持っていません」とあるので、会の規約や内規でも、会員のやったことに対する処分をすることもできないものと見受けられます。

今後このようなトラブルを未然に防ぐ為のルールづくりを検討したいと思っています」とのことで、これは会の中の話ですから、部外者がどうのこうの言うことでもなく、あとは会員の方々を含めて協議すればいい問題かと思います。

ただ、この中で一点納得しにくい表現があります。「作品内で使用している映像・音楽の使用許可を丁寧に得ようとしていなかったことが確認されました」の部分。丁寧どころか、許諾を得ようとした様子がない動画が使用されています。また、はっきり断った人物の動画も使用されています。

ここは「著作権侵害をしたことが確認されました」と表現すべきです。本人もそれを認めたから外したのですし、すでに離れた代理人弁護士もそれを前提に秋山理央と交渉していたのですから、疑う余地がない。独立映画鍋が著作権侵害があったか否かの判定をする立場にはないのだとしても、事実関係から、そう判断することは可能です。

著作権侵害があったとなると、そもそもこの映画は規約違反であり、クラウドファンディング自体が無効であったということになります。Motion Galleryに対する独立映画鍋の責任にも及ぶため、曖昧な表現にしたのかとも疑えます。

それでも問題が解決すればそれでよしってことではありますが、このことが解決に一歩近づく契機になったと同時に、なおクリアしきれない問題を残したようにも思います。

 

 

わたなべりんたろうの謝罪文

 

vivanon_sentenceおそらくこれを受けてでしょうが、わたなべりんたろうは、出資者に対して謝罪文を送ってきました。

いつものようにくどい文章で、要点だけを書く練習をした方がいいと思います。

不要個所を除いて、以下がその内容です。

 

謝罪申し上げます。

「レイシスト・カウンター」は現在、下記のように出演者から指摘があり、現行版を封印しています。(略)

クラウドファンディング自体は成立していると認識していますが、このような事態になりましたのでリターンの不履行の申し出のある方には返金したいと思います。人為的ミスが原因と思われるリターンの不履行については、各コレクターの各特典ごとに対応しますのでよろしくお願いします。
また、「レイシスト・カウンター」でリターンの発送がギリギリになり、チケットの送付が遅れたことは再度お詫び申し上げます。以前にメールしたように劇場受付で対応したとはいえ申し訳ありませんでした。
今回は誠に申し訳ありませんでした。

 

規約で禁止事項に挙げられている著作権侵害があったことがすでに確定している以上、クラウドファンディング自体が成立していません。おそらく独立映画鍋が明示しなかったことを受けて、わたなべりんたろうはクラウドファンディングには問題がなく、リターンを履行しなかっただけだと矮小化を図ってます。

限定アップデートの共有」なるものが確認されていないので、希望があれば出資者全員に返金することになりますから、結果は同じではあれ、この表現では自分がそれに該当するのかどうかはっきりしない方も出てきましょう。

今なお自分のやったことを認めていない様子であり、カットした部分に書かれていた経緯説明でも、著作権侵害については一切触れておりません。「クラウドファンディングで集まった支援金の使途に不明瞭な点が認められました」「特に支援金の使途については、コレクターに会計資料を開示した方が良い」という独立映画鍋の指摘が実行されていない点についても、出資者はその説明を求めた方がいいのではないかと思います。

他にも気になることがあるのですが、また改めてやります。

続きます。

 

 

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