佐野研二郎とわたなべりんたろう-著作権が理解できない人々(松沢呉一) -3,514文字-
これでエンブレム問題は解決
オリンピックのエンブレム騒動についてはこれまで一切私は触れてませんでした。あれ自体を取り上げた時には判断不能であり、デザインした佐野研二郎がベルギー・リエージュ劇場のロゴを見ていないと主張する以上、偶然似たとするしかない。偶然で似る可能性はいくらでもありますから。わからないことには触れない方針です。
しかし、それ以外のところで、次々と盗用疑惑が出てきて、サントリーが賞品の取り下げをしたことで、佐野研二郎デザインのエンブレムについては結論が出たんじゃないでしょうか、
30点中8点に問題あり。今後さらに増える可能性もありそうです。しかも、「似ている」というレベルではなく、ネットで拾った画像の無断使用が含まれます。わたなべりんたろうか、おまえは。
これに対しての佐野研二郎の釈明がまたひどい。
最初これを読んだ時、「外部のデザイナーに依頼して、そのデザイナーがやらかした」という話かと思いました。しかし、「制作業務をサポートする複数のデザイナー」というのは、自分のデザイン事務所に属するデザイナー、つまり部下のことのようです。部下のせいかよ。
部下であれば、トップが日頃どういう考えに基づいてデザインをしているのかを見ているはず。トップがアバウトだから下もアバウト。トップが他者の権利を踏みにじってなんとも思わない厚顔な人だからこうなったのだろうと思わざるを得ません。
佐野研二郎はオリンピックに関わる資格なし
だからといって、オリンピックのエンブレムまでがパクリと決定したわけではないのですけど、仮に今後ベルギー・リエージュ劇場のロゴをデザインした人が、あるいは他の人であっても、佐野研二郎相手に裁判を起こしたら、これらの事実は裁判に影響するはずです。
佐野研二郎の弁明の中に「著作権に精通した弁護士」という言葉が出てきます。そのくらい高度な事案だと言いたいようですが、ネットで拾った画像を使った例については弁護士に相談しなければならないような内容ではありません。常識の範囲であり、その常識さえ理解できていなかったことを自ら吐露したに等しい。
税金を投下し、国際的な行事であるオリンピックに関わらせてはいけない人物だったことが明らかになったのですから、答えはもう出ました。あのエンブレムはボツにして、以降、一切関わらせるべきではありません。
仮に、過去に万引きで捕まったことがある、喧嘩をして傷害罪で捕まったことがあるといったことが判明したところで、デザインとは関係がないので、それをとやかく言うべきではないですが、デザイナーとしてのモラルが欠けているのはまずい。これとて、10年前に問題になって、以降反省したというのなら別として。
たとえばオリンピックの公式記録映画を撮るとして、それにわたなべりんたろうが関わっていたらおかしいでしょ。公式記録映画では著作権侵害をしない保証があるとしても、人としてアウトです。
実際、やっていることはわたなべりんたろうとさして違わない。本来自分で撮れば済むのにそれをやらず、他人が撮ったものを無断で使用する。何かが欠落しています。
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