松沢呉一のビバノン・ライフ

事実確認もできない学者-SEALDsの足を引っ張る上野千鶴子 1(松沢呉一) -2,122文字-

上野千鶴子の呆れたSEALDsメンバー批判

 

vivanon_sentence上野千鶴子という人はよくもまあここまでいい加減なことを書けるものだと呆れている次第。今になってSEALDsにいっちょかみして、百年前からわかっていたような顔をしようとして見事滑ったって感じです。

 

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元になっているのはSEALDsメンバーである芝田万奈さんによるこのスピーチ。

 

 家に帰ったらご飯を作って待っているお母さんがいる幸せを、ベビーカーに乗っている赤ちゃんが、私を見て、まだ歯の生えない口を開いて笑ってくれる幸せを、仕送りしてくれたお祖母ちゃんに『ありがとう』と電話して伝える幸せを、好きな人に教えてもらった音楽を帰りの電車の中で聞く幸せを、私はこういう小さな幸せを『平和』と呼ぶし、こういう毎日を守りたいんです。

「IWJ」

 

これに対して「性別役割分業を肯定する」と文句をつけた人たちがいたわけです。Togetterを参考のこと。これ自体の問題は、別途やります。

SEALDs叩きをするアホの群れに周回遅れで参入とは。

追記:原文では「上野千鶴子は男子学生だと誤解しているようです」と書いていたのですが、一般論として「『お母さんがご飯を作ってくれている幸せ』を好きな男たち」を出してきたのではないかとの指摘がありました。もしそうなのだとすると、この女子学生の価値観は男性の価値観そのままをなぞるものであり、彼女の主体的な判断ではないのだと断じ、同性でありながら母親の立場も想像ができていないと批判していることになります。それはそれでひどい話。どちらかはっきりするまで、その点はいったん引っ込めます。

 

 

SEALDsメンバーからの反論

 

vivanon_sentenceSEALDsのメンバーは忙しく動いているわけです。そんな中、知名度はありながらも、怠惰な批判を平然と向けてくる人物の相手をしなければならないんですから、同情しますよ。

以下はSEALDsのメンバーによる上野千鶴子のツイートに対するTwitterでの反論です。

 

 

SEALDsメンバーの正木と申します。今回上野さんの一連のツイートは運動の中に性別役割分業を肯定する演説があったというのが発端であると推測いたします。しかしその件で誤解されている点があるようなので幾つかツイートいたします。

先ず性別役割分業を肯定する演説について。これは実際にはSEALDsの女性メンバーのスピーチが元で、男性の発言ではありませんでした。そして内容も毎日の食事ではなく、帰省した際の経験についての発言で、性別役割分業を肯定しないよう慎重に言葉を選んでいました。

それでも性別役割分業を想像させるスピーチはいけないと批判があるなら、女性個人の幸せに寄り添えないようなものがフェミニズムであるはずがないと反論いたします。

そして「女性による異議申し立てを無視する性別役割分業肯定の男達」についてですが、それも実際は異なり、認識の誤りや存在しないことがらへの批判に対する反発でした。

セクシズムを含んだものが全くなかったとは申しませんが、多くはそのように正当な反論であったことをお分かりいただければと思います。荒い口調のものも多いでしょうが、それを学問世界では考えられないと切り捨てるのではなく、市民の生の憤りであると見ていただきたい。

最後に、運動に関わる学生として研究者の方々が事実に基づいた思索をし、学問と運動がこれからも協力していくことを望みます。

 

 

人んちの実家の事情を語ることに抵抗がありつつ、「事実と違う」ということを指摘しておくため、正木君(私らの間では「ソルト君」と呼ばれている)の書いていることを補足すると、彼女の母親は家事を分担して、あるいは専業主婦で「毎日」家で食事を作って待っていてくれているわけではないとのことです。乏しい想像力で「毎日」なんて書き加えてはまずかったですね。

これを叩いた人たちは、「そうであれば叩ける」というモデルを彼女の言葉に勝手に投影して叩いたのでしょうが、上野千鶴子はさらに叩きやすい物語を完成させました。

フェミニストたちからも批判されているのは当然です。

 

 

現実を理解できなくなった老害

 

vivanon_sentence上の件については、SEALDsメンバーのツイートで十分に反論されていますから、あとは上野千鶴子がどうするか見てましょう。自分の発言に責任をとれるのかどうか。

 

 

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