文庫発売のお知らせと「ビバノンライフ」更新遅延のお詫び-[無料記事] -2,475文字-
『風俗ゼミナール』文庫版2冊同時発売
まずはお詫び。10月は「ビバノンライフ」の更新が滞ってしまいました。その事情をお伝えしておきます。
ほとんどここまで触れていなかったですが、9月に文庫が2冊同時に出ました。
私が風俗ライターであったことも忘れられつつありますが、「風俗ゼミナール」シリーズの単行本は、第五弾まで出ていて、私の本としては異例の売れ行きでした。その文庫版。
売れゆきが芳しくなくなってきたので第五弾で終わりにしましたが、単行本にならなかった原稿がいっぱいあります。この文庫が売れたら、それらもオリジナル文庫として出せるかもしれないので、この文庫は売れて欲しいのですが、そのわりには宣伝をロクにせず。
だってさ、9月は国会前に日参するのに忙しく、宣伝したところで、こんなもんを読む気分じゃないでしょ。そりゃ、SEALDsの本を読みますよ。
10月に、会場で文庫を購入した方、「ビバノンライフ」の購読者は入場無料で、発売記念イベントをやる予定で、そこで一気に宣伝をかけようと思っていました。場所も日程もゲストも決まっていたのですが、こんなんやっても人が来ないだろうと思って延期にしました。そりゃ、SEALDsと学者の会のシンポジウムに行くでしょ。私だって、そっちに行くわさ。
街娼のインタビュー集発売!
そうこうするうち、次の文庫の作業が始まってしまって、それどころじゃなくなりました。
次は単行本になっていないオリジナル文庫です。前回も書いたように、1990年代末から2000年代にかけて、私は街娼のインタビューを続けてました。
日本人街娼は高年齢化が進んでいます。赤線の時代を知る人たちは、その当時で60代から70代。あと10年もすると消えます。その世代の下の世代はなお全国にいますけど、それとてそう長くは続かないでしょう。焼け跡のパンパンの時代は今やっと終わろうとしているのです。
こんなもんを面白がる読者も編集者もほとんどいませんから、ほとんど趣味でインタビューを続けていましたが、全国各地に取材で行くこともなくなって、この趣味は頓挫しました。
単行本にする話もあったのですが、なお現役で立っている人たちが多く、迷惑がかかるといけないので断念。もちろん、許可は得ているんですけど、それでもためらいます。
もうちょっと寝かせるしかない。寝かせたまま本にする機会がなく、闇から闇に消えても仕方のないことです。
しかし、当時から目をつけてくれていた編集者が新潮社にいまして、現在、文庫の担当になっており、「そろそろどうですか」と声をかけてもらいました。
大半はもう辞めているか、場所を移動しているでしょう。亡くなっている人もおそらくいると思います。それでもなお書きにくいことはあるんですけど、その辺は適当にごまかして十数年の時を経て、やっとまとまります。
「ビバノンライフ」が停滞した理由
それはいいとして、えれえ手間がかかってしまいました。当時雑誌に出したものもあるわけですが、長い長いインタビューの一部しか出せず、今回、すべて文字起こししたものからまとめ直しているので、新規でインタビュー原稿を書くのと手間はほとんど変わらず、10月はこれで潰れてしまい、「ビバノンライフ」の更新もままならない状態が続いておりました。
我ながらホントに意義ある内容の文庫だと思っているので、購読者の皆さんにはご理解いただければ幸い、
やっと本日第一稿をすべて送ったところです。しかし、現時点で15本のインタビューがあり、2人まとめて聞いたものもあるため、人数は19名。原稿用紙換算で600枚を軽く超えています。それぞれ削るにせよ、何本かは外すことになりそうです。どれも捨てがたいので、この選択は悩みそうです。
また、用語、歴史、法律などについての解説は別項にした方が読みやすいのではないかと編集者が言っております。たしかに、この世界でしか使わないような「バンかけ」「カラトン」「パイラー」「手レンコン」といった用語が連発して、そのたびに解説するのはテンポが悪い。
たぶんあと2週間ほどこの作業に追われそうなので、連日というわけにはいかないかもしれないですが、これ以降は「ビバノンライフ」も頑張って更新する予定。
※写真の人は街娼としては若いため、今もまだ現役でやっていると思います。若いと言っても現在50代。
街娼インタビューは非公開としました
『風俗ゼミナール』文庫化記念イベントはタイミングを逸してしまったので、こっちの文庫が出た時になんかやります。
街娼インタビュー集には、「ビバノンライフ」の「循環湯」で出したものも含まれているのですが、読み直したら誤字脱字の類いを多数発見。文庫に収録されるものとは内容も少し違っているので、いったん非公開としました。
ぶっちゃけ、街娼のインタビューは「ビバノンライフ」でも全然人気がないので、出しても出さなくてもどっちでも一緒かと。受けないテーマなのです。
一冊にまとめるとまた違うかもしれないですが、それでもこんなもんを読みたがる人たちはそうはいないはず。よくも出す気になったものです、新潮社。
面白がる人は少ないとしても、内容は大変貴重。なにしろ赤線時代から街に立っていた人、客引きをやっていた人も複数いますし、全部並べて読むと、いかに人が移動しているのかも見渡せ、地域によって違う歴史的経緯やしきたりまでがわかります。
ただちょっと残念だったのは、見つからない原稿があったことです。名古屋や岡山でのインタビューは原稿にしたものも、元の文字起こしも行方不明。もうこの時代のものを出し直すこともないだろうと思って、古い取材ノートは数年前にすべて捨てましたし。今回ギリギリ文庫として残せてよかったなと。
※写真は20代の若い子らが立っている珍しい場所で、その子らが仕事に出かけたあとの写真。ゴミは片付けた方がいいっすね。若い世代はインタビューしても、一般の風俗嬢と変わらないため、面白みに欠けるのですが、一言二言、彼女らが会話に参加している原稿が収録される予定。