松沢呉一のビバノン・ライフ

「積極的合意」のマイナス面-yes means yesの意義と実現性 3- (松沢呉一) -2,753文字-

※内容がずれてきたし、長くなりそうなので、「酒を飲んでのセックスは厳禁」「セックスにおける積極的合意」は「山本圭壱の復活を擁護する」シリーズから外し、「yes means yesの意義と実現性」というシリーズに変更しました。今回はその3回目です。「セックスにおける積極的合意-yes means yesの意義と実現性 2」の続きです、

 

 

 

「積極的合意」がもたらす不都合

 

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ここ数日、「積極的合意」について調べていたのですが、英語力が拙いので、なお細かなところは理解できていません。よって、これについて私の書くことには間違いが含まれている可能性があって、修正しつつ、話を進めていきます。

積極的合意」をルールにすることによって、トラブルが減ることは間違いないとして、それによる悪い側面がないかどうかをシミュレーションしていたのですが、大学のような場所に限定されている限りはあまり問題は生じないように思います。ルールの厳格化による問題がちょっと出るかもしれない程度。

「クーリエ・ジャポン」の記事には、セックスをすることの「積極的合意」を得た上で起きる暴力については意に沿わない暴力であることが認められなくなることがあるとの指摘が出ていました。

たとえば「セックスは合意したけれど、逆さ吊りにされることまでは合意していない」「セックスは合意したけど、バイブを入れられることまでは合意していない」「セックスは合意したけど、3Pまでは合意していない」みたいな話でしょうか。

しかし、「積極的合意」をルール化しなくても、同じことが起き得ますし、実際起きているでしょうから、「積極的合意」のルール化によって新たに生ずる問題ではないように思います。

意味がわからなかったのですが、具体例を出してみると、「ああ、そういうことは大学に限らず起きそうだな」と理解できました。

各大学、団体、個人がyes means yesキャンペーン用のバナーを作っていて、上のバナーはそのひとつです。以下同。

 

 

こんな都知事候補を許せるか!

 

vivanon_sentence以下、長いですけど、わかりやすい例を出して説明します。

たとえばこんな週刊誌記事が出るとします。あくまで登場人物と内容はフィクションです。言わなくてもわかるか。

 

 

今回都知事選に立候補した栃木健児氏(69)に仰天「淫行」疑惑が持ち上がった。

埼玉県に住む女子大生のA子さん(18)は涙をこらえながら、その日の様子を振り返る。

「私は以前から栃木さんの主張に共感していました。今年の3月15日、一度お話を生で聴きたいと思い、都内で開かれた講演会に出かけました。講演会のあと、握手をしてもらったら、“このあと食事でもどうですか”と声をかけてくれました。著名な弁護士さんですから、疑うこともなく、“はい、喜んで”と答えてしまったのが間違いでした。たくさんの人たちが一緒なのだろうと思っていたら、ふたりきりだったのです。お酒を飲んだことがなかった私は、ワインを飲んで酔っ払ってしまい、それからのことはあまり覚えていないのですが…」

A子さんは言葉を詰まらせ、メガネを外してハンカチで涙を拭い、記憶をたどり寄せるようにポツリポツリとその後のことを語り始めた。

食事をしたレストランを出る直前に、栃木氏はこんな申し出をしたという。

「今日はホテルをとってあるので、そこでもう少し話しませんか」

酔いが回っていたこともあり、また、尊敬する栃木氏の申し出とあって舞い上がってしまったAさんは、なんら警戒することもなく、栃木氏とともにホテルの部屋に移動した。

「意識が朦朧としていたので、どんな会話がなされたのか、何があったのかもわからず、気づいた時には全裸にされていました」

しかも、縄で天井から逆さ吊りにされていたというのだ。

「栃木さんの表情はすっかり変わっていて、鬼のような形相でバッグから取り出した道具を私の中に…」

A子さんは今もそのことを思い出して震えが止まらなくなるという。

栃木氏の都知事としての資質が問われている。

 

ひどいヤツじゃないですか、栃木健児って。こんなヤツを都知事にしてはいけません。

 

 

セックスに合意した事実がすべてをひっくり返す

 

vivanon_sentenceこの週刊誌記事で窮地に追い込まれた栃木氏でありましたが、その数日後、ネットニュースのIWJKに続報が出ます。

 

 

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