裸体運動(ヌーディズム・ナチュリズム)と陰毛の関係-毛から世界を見る 13- (松沢呉一) -3,188文字-
「陰毛と水着の関係-毛から世界を見る 12」の続きです。
ビキニが発展したものか、全裸が後退したものか
もともとマイクロビキニは海岸での全裸が禁止されたことへの対抗として出てきたものです。
※Amazonで340円のマイクロビキニ。やっす。乳首が出てはります。レビューによると、縫製が粗悪とのこと。買ったんだ…。
「ヌーディスト・ビーチ」「ヌーディスト村」は日本でも好奇とともに報じらることがかつてはよくありましたが、裸体運動の歴史がある欧米では、そういった場所だけじゃなく、ところかまわず全裸になる人たちがいます。子どもから老人まで。
しかし、だんだんゾーニングがなされるようになってきて、全裸になっていい場所とそうではない場所の区分けができてきました。
国によって法的位置づけは違っていて、国によってはヌーディスト区域を認めて、法で認めている区域外で全裸は取り締まられたり、黙認されたり。また、国によっては公園や海岸に限定して、どこでもヌーディストの全裸は合法だったり、国によっては違法ながら、おおむね黙認だったり。
数年前に、ドイツで全裸になっていい公園が指定されたことが話題になってましたが、それ以外の公園では全裸になれないってことですから、公認した点で前進であるととともに、どこでも全裸になれなくなったという点では後退とも言えます。
ドイツの正確な事情はわからんのですけど、たぶんそういうことのはずで、こうなると、今まで全裸になれた場所でも布をつけなければならない。その規則逃れのために、あってもなくてもいい水着としてマイクロビキニが発達。
つまり、マイクロビキニはビキニの発展形というより、全裸の後退形として始まったと見た方が正しい。日本ではもっぱらエロ・コスチュームですけど、ヌーディストにとって裸はエロではないですから、マイクロビキニは、エロではない全裸にできるだけ近い状態を維持するものです。180度意味合いが違う。
ヌーディストたちも今は毛なし
マイクロビキニが出てきたのはは1990年代のことです。それが決定的要因になったわけではないにせよ、時期から考えて、これもまた毛を消すことに一役買ってます。
おそらくそれまでは、全裸で日光浴をするには、毛があった方がよかったのだと思います。チンコやスジがむき出しにはならない。
しかし、マイクロビキニになった途端に毛が気になる。やはりハミ毛は事故毛なのです。この辺の攻防は、意味の揺れを伴っていて、とても面白い。
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