陰毛より大麻を育てよう-毛から世界を見る 14- (松沢呉一) -2,519文字-
「裸体運動(ヌーディズム・ナチュリズム)と陰毛の関係-毛から世界を見る 13」の続きです。
水着が毛を消していく
海岸や公園で全裸になる裸体運動の歴史がないため、さすがに今でもマイクロビキニを着て海やプールに行く人たちは日本では少ないですけど、マイクロビキニに至らずとも、水着の面積は減っていますから、毛の処理をしないわけにはいかない。
左のビキニは楽天で適当に探したものです。今なら送料別の税込み2,330円。
マイクロビキニほどではないので、大胆ではあっても、これなら日本の海岸でも着られましょう。これでも、毛の処理は不可欠。上部と脇とIラインは処理しておかないとハミ毛します。
同じ水着を何年も使うわけではないですが、水着や下着のトレンドがこうなってしまっている以上、なかなか元には戻れず、水着を着る機会がない人はいいとして、海やプールに行くとなれば陰毛は元に戻しにくいと思います。
「世間では毛を消し始めているから、ここまではイケそう」というデザイン側の発想もあったでしょうし、「この水着を着たいから剃る」という水着先行の消費者もいるでしょうから、「毛が先か」「水着や下着が先か」は難しいところですけど、どちらにしても、毛の環境はすでに大きく変化していることは間違いない。この日本でも。
さて、日本では…
この「ビバノンライフ」でも、法に触れずに、毛のない股間を見せることに苦心しているように、また、裸体運動が幼稚園くらいにしか伝承されていないように、この国では、陰毛が消えていることを知る機会自体が少ない。
年表を作るとわかりやすいのですが、欧米でポルノ女優、男優たちの毛が消えた1990年になって日本ではやっと陰毛が解禁されます。20年遅れ。
「ヘアヌード」と称して週刊誌は大いに部数を伸ばしたわけですが、くっきり毛が見えることにはなおセーブが働いて、アップにはしないのはもちろんのこと、実のところ、毛には修正が入っていました。クッキリではなく、モヤモヤさせていたのです。
ルーペで写真をチェックする癖がある私はすぐにそれに気づいてモヤモヤしていたわけですけど、一般の人たちはあんなもんでも喜んでいました。ガキか。
そんなもんで喜んでいる暇があるなら、この国の刑法175条撤廃に力を入れるべきです。マンコもチンコも見られるし、マンコにチンコが入っていても堂々と見られる社会にすべきです。
今となってはマンコやチンコはネットで見放題ですけど、そういう問題ではなくて、表現の自由の観点から言って、国家がそんなもんを規制して、逮捕できる状態を続けていること自体、人権侵害なのです。
ヘイトスピーチ規制のため、刑罰規定のある法律に抵抗感のない人たちは、「すでに刑法175条があるじゃないか」と、刑法175条を盾にして、表現の自由をさらに不自由にすることを主張していました。弁護士でさえも。刑法175条を放置してきたため、さらなる表現規制を許してしまうのです。
道徳を疑うこともできず、刑法175条に屈服し、さらにはそれを利用する腐った糞のような弁護士に比べると、同意しにくい部分はあるにしても、闘っているろくでなし子は賞賛するしかない。
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