未成年が酒を飲んだ時の責任—下戸による酒飲み擁護 5- (松沢呉一) -2,058文字-
「酒は敵ではない—下戸による酒飲み擁護 4」の続きです。
未成年と酒
合意の上であっても、あるいはただ言えなかっただけでも、酒を飲み過ぎて体を壊したり、警察に捕まったり、仕事を失ったりするのは不幸ですから、広く一般に適度に飲むように呼びかけることはなされてよく、事実なされています。
また、倒れた場合に適切な処置をするように心がけるようにするのも当然。殴る蹴るはあんまりよくないですね。ケースバイケースですけど。
一気飲みも、自分の限度を踏まえて大の大人がやる分には他人がとやかく言うことではない。ただし、学生は別。
ここで考慮すべきは年齢の問題です。新歓コンパに参加する新入生は、一部成人もいるでしょうが、多くは十八歳か十九歳です。
未成年は酒を飲んではいけません。よって学校側は注意呼びかけるくらいはあっていいとして、学校主催の場ではなく、学校外での行動であり、酒を勧めた生徒は法に反するわけでもないですから、「サークルの先輩が未成年に飲ませたから退学」というわけにはいかないかと思います。教員が参加する場合は、教員が学生を指導するのは当然として。
未成年がトラブルを起こした時の責任
学校は無関係としても、未成年だと「酒を飲む」「一気飲みに参加する」という合意が無効という考え方が成立します。酒を飲んではいけないだけではなく、一人前の判断ができない未成年ですから、未成年とわかって一気飲みに参加させて倒れた場合は、強制したわけではないとしても、その場にいた人たちは責任を免れない。民事訴訟になったら不法性ありとして損害賠償を命じられることになりそうです。
未成年を参加させる場合は、本人がいかに同意していても、また、一気飲みじゃなくても、責任を問われる点を留意した方がいい。ちょっとくらい飲んでもいいとは思いますが、「この辺でやめとおけ」とちゃんと注意をしましょう。本人も限度ってもんをわかっていないことが多いわけですから。
最近、学生街の駅周辺では大学の腕章をつけた警備員が見回りをしていることがあります。とくに新歓コンパの時期。
おそらく倒れた生徒のケアをするのではなく、通行人に迷惑をかけないように、歩道を塞いでいる集団や大声を出して騒いでいる集団を注意して回っているのだと思います。
そこまで大学がする必要はないようにも思うのですが、クレームが大学に入るので、放置できないのでしょう。とくに店の前を封鎖されたり、ゲロを吐かれたりするとたまったもんではないですわね。
倒れて歩道を塞いでいるヤツがいると、ただの通行人の私もイライラして、「ケツに爆竹入れたろか」と思うことがあります。
この時に警察に通報されると、事が大きくなる可能性があって、学校の責任を問われることにもなるので、そのための警備員だろうと想像しています。
※誰とは言いませんが、大の大人が一気飲みの末に路上に倒れたところです。ケツが汚いのは爆竹が破裂したためではなく、もともとです。
菊間千乃の場合
元フジテレビ・アナウンサーの菊間千乃は、未成年のタレントと酒を飲んだことが発覚して謹慎を余儀なくされ、その後退社して、現在は弁護士として活躍。
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