松沢呉一のビバノン・ライフ

海外から配信しても刑法175条が適用される判決が出ていた!-毛から世界を見る 25- (松沢呉一) -2,884文字-

これまでのポルノ批判が成立しないCAM4-毛から世界を見る 24」の続きです。

 

 

SNSのエロ化

 

vivanon_sentence前回書いたように、CAM4の出演者には、Twitterでそれ専用の告知アカウントを持っているのがいます(下のSS参照)。「2時間後にやります」と告知するわけです。うまい使い方です。

私は心が荒むため、長らくTwitterをやっていませんが、Twitterのエロ化が激しいという話は聞いてました。客探しに利用している女子に聞いたのですが、食い付きがいいらしいですよ。

mixiがそうなってしまったように、「オフパコ」用ツールになっていて、出会い系と客探しにとってはもってこい。セックスするのに文字数はいらんでしょ。

文字数はいらないですが、写真はあった方がいい。数日前に人に見せてもらって驚いたのですが、自分のヌード写真や動画を出しているのもいて、中にはチンコ、マンコを出しているのもいます。日本人ではなかったですけど。

どうやらTwitterは、タグをつけることでゾーニングを進める方針のようで、規約の変更もありました。見たくない人は見ないで済むようになれば、エロ画像もOKということにしつつあるのだと思います。もちろん、日本では日本の法律にひっかかりますから要注意。

刑法175条があるだけでも困ったもの。その上、法改正によって、海外にサーバーがあっても刑法175条に抵触するという話はすでに説明しましたが、それどころか、海外にいる人でも、Twitterで性器を出すと、日本の法律にひっかかります。ワケがわからんでしょ。

 

 

驚きの判決

 

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山口貴士弁護士から教えてもらったのですが、そういう判決がもう出ていたのです。最高裁判決はこちら

高裁判決の方が問題の箇所がわかりやすいので、そこから抜粋します。

 

犯罪構成要件に該当する事実の一部が日本国内で発生していれば,刑法1条にいう国内犯として同法を適用することができると解されるところ,既にみたとおり,被告人らは日本国内における顧客のダウンロードという行為を介してわいせつ動画等のデータファイルを頒布したのであって,刑法175条1項後段の実行行為の一部が日本国内で行われていることに帰するから,被告人らの犯罪行為は,刑法1条1項にいう国内犯として処罰することができる。

所論は,このように解すると,わいせつ画像等の規制がない外国に配信サーバを設置してサイトを運営する行為であっても,日本からアクセスされてダウンロードされれば,日本人,外国人であるとを問わず,我が国の刑法が適用されることになり,各国の規制との衝突が生じることになり不当であるという。しかし,実際上の検挙の可能性はともかく,我が国における実体法上の犯罪の成立を否定する理由はなく,所論のいう点は,前記のような解釈の妨げとはならない。

 

刑法は日本国内において罪を犯した者に適用されるわけですが、その犯罪を構成する要件の一部が国内で行われれば事足りて、刑法175条の頒布は受け取った人がいて初めて成立するのだから、日本からアクセスした人がいたら、海外からの配信であっても、あるいは日本国籍がなくても、適用されるということになるという内容です。愕然とします。

※エロ画像が出てきますので、18歳以上の方のみ先にお進みください。

 

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