松沢呉一のビバノン・ライフ

狂乱の一夜に聞いた雨宮まみの訃報—物書きの死について(松沢呉一) -3,580文字-

おいおい・マラ・分倍河原

 

vivanon_sentence一昨日(11月17日)、四谷アウトブレイクで行われた「BBG(分倍河原)48×おいおい教バンド+宗教法人マラヤ」のライブに行ってました。

元氣安は芸人として最近好調です。おいおい教バンドも絶好調。長年独自の芸を続け、音楽活動もやっていることから、今や「ピコ太郎か元氣安か」と我々の間では言われております。

おいおい教バンドは久々に見たのですけど、メンバーが一部入れ替わっていて、音もステージの展開も安定のイカれぶりを見せてました。

続いてゲストの宗教法人マラヤは、グラビアアイドル出身(現役なのかな)の二人組。見た目は全然違いますが、おいおい教と宗教つながりってことらしい。

彼女らは酒癖が悪いことで知られていて、ステージで「誰か酒をおごって」と客に請い、おごってもらった酒を飲みながら歌っていて、不良ロッカーみたいでした。

見た目だけじゃなく、曲もよくて、時折下品が入ってます。MCでも「お酒は聖水だから」と言おうとして、「お小水だから」と言い間違えてまして、聖と俗、上半身と下半身が混沌としているタイプのアイドルだと思います。もしかすっと「マラヤ」は魔羅屋なのかな。だとすると、見た目は違いますが、魔羅つながりで、私の仲間です。

片方はずっと俯いたまま歌っていて、歌詞でも見ているのかと思ったのですが、口パクですから歌詞を見る必要はなく、酔っていただけかも。アイドルのシューゲイザー

 

 

サイテー・アイドル・ユニットBBG48

 

vivanon_sentence最後はBBG48の狂乱のステージでした。BBG48はメンバー違いのユニットを前に見ており(そもそも固定メンバーというのがいないらしい)、「私のクリちゃん、クリックしてね」ってフレーズが好きで、道を歩きながらよく口ずさんでます。

彼女たちは劇団ゴキブリコンビナートの女優さんたちで、反公序良俗・反権力のアイドル・ユニットです。全曲下ネタ。

一曲目の「うんこがしたい」が終わったところで、物販をやっていた元氣安が「サイテー」と呟いていたことを私は聞き逃しませんでした。元氣安に「サイテー」と言われるのは最高の名誉かと思います。

YouTubeにもPVやライブの動画が上がってますが、冷静な頭で観ると、かなり寒いと思いますので、観なくていいです。ライブを観るべし。

別の場面にそこだけ切り取って出すと誤解されるし、ああだこうだと文句を言うのがいそうなので、気の小さい私は触れにくい点が多いのですが、何が感動したってパンツです。

パンツがよく見えるんですけど、見せパンかと思ったら、安そうな綿のパンツでした。しかも、あれは新品じゃないな。ゴミまみれのステージですから、汚れてもいいように、着古したパンツだと思います。何か大事なものを捨てきったその姿勢に感動しました。

感動したあまりCDを買おうとしたのですが、すでに完売とのこと。サイテー。

ゴキブリコンビナートは最近見世物小屋に出演しています。「保奈美の初恋」で説明したように、見世物小屋を担当する大寅と入方のうち、入方が活動休止に追い込まれたため、その穴埋めをする形なのかな。十一月二二日か二三日、新宿花園神社の二の酉に観に行こうと思います。

 

 

Kさんの訃報

 

vivanon_sentence一通りステージが終わって、会場でしばらくモダンフリークスの福田君と話していたら、彼はこんなことを言います。

「そういえば、Kさんが亡くなりましたね」

「誰だよ、それ」

「雨宮まみですよ」

「へえ、本名はKっていうんだっけ」

「そうですよ」

福田君はワイレア出版時代、編集部は違えど、彼女の同僚ですから、本名の方がしっくり来るのです。私も当時誰かに紹介されて、一言二言話したことがあって、そう言われればそんな苗字でした(彼女の本名はWikipediaにも書かれていないので、ここでも伏せておきます)。

「えっ、亡くなったの?」

時間差で驚きました。

「今日、関係者の告別式みたいなのがあったみたいですよ。TwitterにもFacebookにも出てましたよ」

そもそも、ムチャクチャ時間差があって私は知ったのでした。

「Facebookも最近全然見てないからな。つうことは昨日今日の話ではないんだよね。なんでここまで誰も教えてくれないんだよ」

「そんなにつきあいがなかったからじゃないですか」

「そうなんだよ。近いところにいたのに、よく知らない。じっくり話したのは一回か二回だけ」

あっさり納得しました。

「福田君もなんで会ってすぐに言わないんだよ。おいおい教バンド、マラヤ、BBG48のステージを全部終えてから言うことか。会ってから二時間は経っているぞ」

「忘れてました」

ひどいヤツだな、福田は。

それからしばらく彼女のことを話していたのですが、もっぱら「なぜ我々は彼女とたいして親交がないままだったのか」というのがテーマで、話はそれほど続かず、「BBG48はいいね」という話をその十倍くらいしました。

※よーく見ないとわからないですが、目から涙を噴出させる元氣安

 

 

雨宮まみさんのこと

 

vivanon_sentenceクリックしてね、クリックしてね、私のクリちゃん、クリックしてね」と歌いながらうちに帰ってから調べたら、雨宮まみさんと対面してじっくり話したことはたぶん一回だけです。テーマは記憶にないですが、彼女の取材を受けたことがありました。その時も、もっぱら私が話す役割ですから、彼女と話したという印象でもない。

同じイベントに出たこともありますが、彼女は予定があって、途中で抜けたので、ほとんど話してません。

 

 

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