松沢呉一のビバノン・ライフ

穴兄弟と棒姉妹—知られざる「接待クラブ」 3-[ビバノン循環湯 268] (松沢呉一)-2,616文字-

実態は飲み屋版「愛人バンク」—知られざる「接待クラブ」 2」の続きです。

 

 

 

昨今の愛人事情

 

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昔のお妾さんと違って、今の愛人関係はゆるい。その方が互いに楽だからそうなっているわけだが、そうなると、したたかなのは、二人三人と掛け持ちをする。

「実際にそういうのがいたよ。二人の愛人をやっているくらいは珍しくなくて、一番すごいのは五人だったかな。そのおねえさんは、実年齢は三十代なんだけど、日替わりの愛人を抱えて、それ専門で食べている。プロの愛人。そのおねえさんはカッコいいんだよ。マンションを買ってやるなんて話もあったらしいけど、断ったって。縛られるのはイヤだから」

—五人だったら月百万か。

「最低でも。そのおねえさんはしっかりしているから、もっといい客をつかんでいたと思うけどね」

—一人切れたら、また補充して。

「そうそう。でも、切れた客もまた次の相手を探しに店にまた通いだすから、女の子が慌てて隠れるなんてことも時々あったよ。騙し騙されの世界だからさ。だから、そのおねえさんは切れた客が会員になっている接待クラブじゃなくて、別の接待クラブに次の愛人を探しに行く。すべてにおいてプロなんだよ」

—いいねえ。

「すごいよね。そんな人はごく一部だけど」

Raimundo de Madrazo y Garreta「Masqueraders」

 

 

みんな穴兄弟と棒姉妹

 

vivanon_sentence客たちは「ただ一回のセックス」と思っておらず、先々のことを考えるので、高い金を出すし、「今日はこの子で妥協」ということがあまりないわけだ。女たちは時給以上を持って帰りたいので、「誰でもいいか」になるが、彼女らも今後引き続き相手をすることになる愛人になると慎重になる。

「お互いに、一回セックスして、相性がよくないと、愛人にまではならないから、同じテーブルについている男たちも女たちもみんな穴兄弟と棒姉妹みたいな(笑)」

 

 

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