松沢呉一のビバノン・ライフ

出会い系バーに来ている客層—私は出会い系バーに出入りしてました 2(松沢呉一)-3,371文字-

読売新聞に報道される前にゲロする—私は出会い系バーに出入りしてました 1」の続きです。

 

 

 

出会い系バーでの話し相手は店長

 

vivanon_sentence原稿が出てこないので、出会い系バーに出入りしていた時のことを記憶で書きます。私の記憶は相当にいい加減なので、細部はいい加減ですけど、大要は間違ってないはずです。

店長が「今日は暇だから来てよ」と電話してくる時は本当に暇で、客がゼロだったこともあります。賑やかしに来て欲しい、あるいは客として来て欲しいのではなく、暇つぶしにダベる相手が欲しかったのです。店長一人でやっていた店なので、客がゼロだと話し相手もいない。

当時私は歌舞伎町のどこからしらの性風俗店にいることがよくあったため、店長にとっては「暇だから来てよ」と電話して、すぐにやってくる格好の話し相手でした。毎度行けたわけではないですが、私は取材の待ち時間をここで過ごす。

彼としては、ただの暇潰しだけじゃなく、警察の動きやヘルス業界の動きは知っておきたかったのでしょうし、私も彼に情報を教えてもらってました。

その店に行って、もっとも長く話していたのは間違いなく店長です。

その頃にはネットで情報が流れるようになっていて、今はどこに客が多く集まっているのかリアルタイムにわかるため、暇な店には人が来ない。そもそも店に人がいないんですから、情報を流す人もいない。

男が来ないと女が来ない。女が来ないと男が来ないという悪循環です。

そういうネットの役割についても店長に教えてもらいました。

※その店が入っていたビルのエントランス

 

 

男の客は陽気

 

vivanon_sentence暇つぶしの相手として行っていたので、ほぼ暇な時しか店に行ったことがないのですが、私が店に着く頃には客が来ていたり、ダベっている途中で客が入ってくることもあって、女は二十代、男は四十代から五十代といったところだったかと思います。

出会い系バーには十代の少女らが来ているイメージを抱いている人がいるかもしれませんし、そういう店もあるのかもしれないですが、少なくともその店に来ていたのはもっと上です。二十代と言っても二十歳そこそこではなくて、半ばから後半だったかと思います。大人の空間。

これも、その店がたまたまそうだったのかもしれないですが、男の客はけっこう金を持っていそうで、複数で連れ立ってきているのもいました。キャバクラに来るのと同じノリ。酒飲んで楽しく歓談。で、客同士で話をつけて出ていく。二人で来ている場合は二人を連れていく。

写真がOKの人たちもいて、たぶん雑誌にも写真を出したと思うんですよね。不動産関係の人たちだったかな。えれえノリが軽くて、目線もいらないと言っていたと記憶します。たぶんそれぞれ自分で会社をやっていて、「読売糞新聞」に報道されたところで問題なしってことでしょう。

たしかこの人たちだったと思いますが、毎日のようにキャバクラにも行っていて、性風俗には興味がないと言っていたはずです。出会い系バーもキャバクラの延長なのです。キャバクラだと何度も通って同伴をし、アフターに連れ出し、バックのひとつも買って、やっとホテルに行けるのに、ここだったらすぐだぞと。性風俗だったら、もっと話が早いのですが、それは別ジャンルで、そっちには興味がない。

※これも区役所通りにある飲み屋ビルの看板。4Fの「ピンククリスタル」は「吊りカラ」ができるSMバーです。「吊りカラ」は、中空に吊られた状態でカラオケをするプレイ。いらん情報でした。

 

 

女の客は地味

 

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対して女の客はキャバ嬢とは全然違って地味。スナックの女より地味。「飲み屋にいる女」として見るから地味なのであって、その背景がなけれは「普通」って感じ。

 

 

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