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【無料記事】低迷脱出に向け、背番号9が決める!平山相太「自分に自信を持っている選手のほうがいいプレーができる。自分とチームを信じて戦う。一丸となってやっていく」(2016/04/28)

心は早くも29日の味の素スタジアムに飛び、眼はホームのファン、サポーターに周囲を囲まれたピッチを見据えていた平山相太がアビスパ福岡からゴールを奪えば、2013年以来の二試合連続得点となる。ゴール欠乏症に苦しみ不安に苛まれるFC東京を救うのは、やはり背番号9のエースストライカーだ。

城福浩監督が今シーズンに入って唱えつづけているのは「個の特長を活かす」プレー。平山はその特長がわかりやすすぎるほどわかりやすい。飛び抜けた高さ。懐の広さ。足許でのキープ力と技術力。「特長を活かそう」と、城福監督は前節対ヴァンフォーレ甲府戦の前にあらためて強調した。平山はボールを集めて起点になり、クロスやコーナーキックのターゲットとなった。結果として後半18分に駒野友一の左コーナーキックから、ヘディングによる同点ゴールが生まれた。
しかし、引き分けだった。対柏レイソル戦を境に連敗が始まってから、東京はまだ勝っていない。大きな不満が生じ、不安を引きずる結果になった。もうそのような思いはしたくない。福岡との一戦はただのリーグ戦ではなく、いまチームに漂う不安感を払拭するための重要な決戦となる。城福監督は「意識とかやり方だけでなく、迫力をもってゴールをめざしていくということを、もっともっとやらないといけない」と言う。その迫力を生み出せるのは、闘志を持つ者だけだろう。

故障から復帰し、あとはひたすらコンディションを上げ、より多くの得点と勝利をめざしていこうとするポジティヴなサイクルに入った平山、高いモチベーションと集中力を保つ彼に弱気は漂わない。むしろ、不振を極め暗さの漂う現在のチーム状況でも、溢れんばかりの闘志を周囲に伝播させ、チームを鼓舞する存在となりうる。
平山は言う。
「自信がない――そういう弱さは、みんなで助け合っていきたい。自分に自信を持っている選手のほうがいいプレーができる。自分とチームを信じて戦う」
安間貴義監督はJ3前節の試合前、U-23の若者たちに「いいプレーをする選手が勝つんじゃない。勝ちたいという気持ちが強い選手が勝つんだ」と檄を飛ばし、チームを初勝利へと導いた。その原則を、平山はよくわかっている。

2003年12月5日、ワールドユースでU-20エジプト代表を下し、逆転のグループ1位で決勝ラウンド進出を決める貴重なゴールをマークした平山を、当時の大熊清監督は富士山に喩えて賞賛した。見上げる人々に愛されると同時に周囲に安心感を与える雄大なエース。優しく大きなストライカー像を表現するのに、これほどふさわいい言葉はない。平山はチームとチームメイトを思いやる言葉を繰り返した。
二試合連続のゴールを誰もが期待していると水を向ければ「もちろん個人的には獲りたいと思っていますけれども、いまチーム全体で、全員で攻撃して全員で守る声掛けや話ができているので、自分が、というよりは、チームが勝つために、それぞれが一丸となっていければと思います」。
広い制圧範囲を活かして起点となるプレーに対する責任感を問えば「自分のところで時間をつくれれば、そのあとのプレーが得意な選手というか、前を向けばドリブルが巧い選手、そのひとのよさが出るという選手はいっぱいいるので、そういうプレーも自分がやらなければいけないものののひとつですね」

今シーズンはここまで4試合2得点。順調なペースで推移すれば、国内でのリーグ戦年間自己最多7点、ヘラクレスでの8点を上回ることも夢ではない。しかしゴール数についても平山は意に介さず、一つひとつ積み重ねる意志だけを固めている。
「具体的な数字はいまのところ自分のなかでは想像できていないので、眼の前の試合に集中して。もちろん、試合に勝つために、ゴールだったり、ゴールにつながるプレーを意識してやりたいと思います。そこに自分の力を出すように心がけています。数字はまだ全然、自分のなかでは、イメージはないですね。積み重なったときに数字が待っている? そうですね――」

一丸となるために必要なのは、その丸の中核で仲間を吸い寄せる頼もしい味方。大きな懐で仲間の信頼を集め、勝利をたぐり寄せるか。優しき富士山の一挙手一投足から目が離せない。

 

 

 

 

 

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