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【ACLラウンド16第2戦第2報(最終)/有料記事】Review◆無念の敗戦~羽生直剛、徳永悠平、吉本一謙(2016/05/24)

【ACL R16 第2戦】無念。試合が終わった瞬間、観ている自分の頭には、そのひとことしか浮かんでこなかった。試合中はできるだけフラットに観察しようとしている記者の自分でさえも、このまま0-0で終わるだろうと予想していた。
失点した瞬間は敗退を覚悟した。残り3分、しかも守備固めにシフトした布陣と意識で1点を獲れるわけがない。二試合合計のスコアは2-2と同点ながら、アウエーゴール数の差で、FC東京は上海上港(SIPG)に敗れた。
試合後の城福浩監督、そして選手の口からは、総じて「次のことを考えられないほど悔しい」という言葉がこぼれてきた。まったく同じ気持ちだ。しかし記者の責務として、分析し、考えなくてはならない。

究極的には、クラブ力の差で敗れたと言っていい。スベン・ゴラン・エリクソン監督への最後の質問に、上海上港と東京の差があらわれていた。記者の質問は概ね次のような意味だった。
「ACLや中国スーパーリーグでよりよい成績を残すには、いまの選手層では不十分に思うが、さらなる補強、入れ替えは考えないのか?」
これにはエリクソン監督も「次のウインドーまで間があり、上層部とそういう対話をするにはいたっていない」という答だったが、問題は要求水準だ。国際クラスの外国籍選手と中国の代表クラスを擁し、エリクソン監督の手腕を持ってしても、純国産のFC東京を相手にアウエーゴール差で“辛勝”するのがやっとだったのだから、圧倒して大会を制するには補強は不可欠だろう。もっともな話だ。
試合後、上海上港のファン、サポーターは、延々と浦和レッズと同じメロディのチャントを唄っていた。“上海上港(シャンハイシャンガン)”コールにはチームバスがクラクションで応えていた。東京は中国のレッズに勝てなかったが、そもそも日本のレッズに勝つことができていない。まずはそこから始めなくてはならない。

しかしたとえ浦和に勝てない東京であっても、中国の上位に比べればクラブ規模がちいさな東京であっても、この5月24日の上海上港に勝てる可能性はあった。東京は、現在のクラブの規模、選手層でできる可能性を追求──城福浩監督が言う最大値を発揮し、ACLを勝ち上がる方法を模索。最後の3分間をしのげば任務を完遂できるところまで行ったが、そこが限界だったのかもしれない。
10回近い決定機、クロス、枠内シュートのことごとくを止め、たった一度の失点に泣いた秋元陽太は、この日の好セーブを誇ることなく責任を痛感していた。
「結果がすべてなので、受け止めるしかないと思います。悔しい気持ちでいっぱいです」
そうは言うが、秋元が止めなかったら、大量失点で負けていただろう。全盛期の川口能活でも一度や二度あったかという水準のセービングだった。ゴールキーパーを責めるのは妥当ではない。

最後の失点に関して、徳永悠平は力不足を認めた。
「うしろの人数を増やして何がなんでも守るというかたちでやりましたけれども、

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