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【無料記事】FC東京選手会が小学校訪問~国領小学校は6年◯組高秀先生状態! インスは牛乳おかわりじゃんけんに負けて頭を抱える(2016/05/30)

5月30日、FC東京選手会が小学校訪問を実施した。これは、ホームタウンの地域にある小学校を訪ねて子どもたちとふれあうことにより、FC東京というクラブを身近に感じてもらうとともに、プロスポーツ選手として子どもたちに夢や感動を与えたいという想いから、FC東京選手会が企画、実施するもの。2008年から毎年おこなわれており、ことし2016年で9回めとなった。
調布市の国領小学校を訪れたのは、背番号順に、高橋秀人、室屋成、ハ デソン、林容平、佐々木渉、ユ インスの6選手で、安竜鎮マネージャー兼通訳が帯同。体育館で子どもたち(小学6年生複数学級)の質問に答え、ボールを使ってからだを動かしたあと、給食を味わい交流を図った。

◯体育館で質問コーナー

この日のリーダーは佐々木。実際、学校に姿をあらわした時点では、高橋は「きょうは先生役ではありません」と言い、後輩に任せることを示唆していた。しかし事前の打ち合わせを経て体育館にやってくると、仕切りだしたのは高橋だった。


各選手が挨拶(ユ インス、ハ デソンは日本語)をすると、その後は高橋がすべての司会と進行を取り仕切る。まず、自分たちがFC東京に所属するプロサッカー選手であり、お父さんお母さんたちが働くように、サッカーでお金を稼いでいる立場であることを説明すると、子どもたちの質問に答えた。

高橋「いくつか、みんなから事前に質問をもらってあるので、一つひとつ答えて、そのあとに『こんなことを知りたいな』ということがあれば質問を受け付けます」

質問には各選手が一回ずつ答えた。もちろんただ読み上げるわけではなく、高橋が親しみやすい話し方で説明を加えるので、スムーズに進んでいった。たとえば最初の質問は「ルーティーン」に関するもので、回答者は佐々木だったが、高橋が質問と答えのあいだを埋めていく。
「ルーティーンってわかる? (野球の)イチロー選手がバッターボックスに立ってこう(※と言い、ジェスチャー)何かしらの動作をする、儀式みたいなことなんだけど。(ジェスチャーに笑いがこぼれる。子どもたちの反応を確かめながら)……は、ありますか、という質問をもらいました。では、佐々木選手にどういうルーティーンがあるか、訊いてみたいと思います」

佐々木の答えは試合の前にAKB48の『ポニーテールとシュシュ』を聴くというものだった。
高橋「はい、ありがとうございますー。サッカー選手が試合の前に音楽を聴くのはOKなんだけど、みんなが携帯を持ってきてテスト前に音楽を聴いていたら先生に没収されちゃうから、学校には携帯電話を持って来ないでね!(※生徒から笑いが起こる)うまい!(※自分で言う)」

万事がこの調子で進んでいく。事前に用意された質問への回答が終わり、高橋が「ほかに訊いてみたい質問があれば。彼女はいますかー? とか」と促すと、積極的に手が挙がり、「Jリーグでチーム同士の相性はあるんですか」という質問が。これには高橋が応じ、「国語算数理科社会、苦手な教科は? 算数? 算数嫌だよね、うん。というのといっしょで、このチームと対戦したら苦手だなというのがあって」県立カシマサッカースタジアムで対戦するときの鹿島アントラーズ相手では結果が出ないことを白状した。

◯体育館でボールを使ったゲーム

「サッカー選手がどのくらい巧いのか、いっしょにやってみましょー!」
高橋の呼びかけでいよいよボール遊びの時間に入る。まず、ボール扱いの巧い子と選手とで、リフティングでからだを温めると、次にボールをキープする選手に子どもたちがプレッシャーをかけて奪う遊びをおこなう。歓声を上げてボール狩りに邁進する子どもたちのプレッシャーに、室屋成は倒れ込みながらも、からだを張ってボールを死守する。


そして対面パスでプロ選手の質とパワー、スピードを体感すると、最後はドリブル競争。ボールを運び、コーン代わりに立った高橋と林の周りをまわって戻ってくる動作を全員分先に終わらせたほうが勝ちというルールで、選手チームと子どもチームが対戦。選手チームの目標が高橋、子どもチームの目標が林だが、スタート地点と林との距離を短く設定し、ハンディを付けるところがミソ。しかも林は開始後もどんどんスタート地点との距離を縮めて子どもチーム有利の状況をつくっていく。この“演出”も効き、ぎりぎりのところで子どもチームの勝利。体育館はおおいにわいた。ハイタッチで子どもたちを見送ると、次はお昼。給食の時間である。

◯教室で給食

各選手と安マネージャー兼通訳が半数ずつに分かれ、各教室で給食を食べた。ハ デソンとユ インスは安通訳の力を借りず、自力で会話に勤しむ。唯一、話題に上ったウーパールーパーについてよくわからなかったときだけ、教室にあったPC(と担任の先生)、安通訳の助けを得たが、それ以外は話が弾んでいた。気が付くとどの選手の周囲もふつうに盛り上がっていて、いかにも食事会といった雰囲気。
余分の牛乳を争う「牛乳おかわりじゃんけん」にはユ インスも参戦したが、序盤で負けてしまい、やっちまった~! とばかりに頭を抱えていた。

◆各選手コメント

◯ハ デソンとユ インスの談話

デソン「自分はうれしかったです。小学生の頃の思いでが浮かんできましたし、日本の小学校の文化、教室の風景を見られたことが、有意義だったかなと思っています」

インス「子どもたちの笑顔を見たら、自分も楽しくなってきます。純粋な気持ちがにじみ出ているような姿だったので、応えないといけない気持ちになりました。幼い子どもたちと初めてふれあいの場を持ち、プロとして有意義な時間でした」

現地に着くなり、廊下や教室に興味津々だったハ デソンは、ノスタルジーもあってすっかり小学校に魅せられた模様。チャイムを聴くと「この鐘もいっしょです! 休み時間が終わるときの鐘は気分がよくないんですよね」。
なお、ユ インスは小学校1年から給食を食べていたのに対し、ハ デソンは入学当初がお弁当で、途中から給食が導入された世代。韓国に於けるジェネレーションギャップを感じさせるエピソードである。

◯佐々木渉の談話

佐々木リーダーに、仕切っていたのが高橋選手だったが……と訊ねると、答えは「午後。がんばります。ヒデくん(高橋秀人)、いないので」。
この日は午前と午後で異なる小学校を訪問したが、高橋は公用のため午前の国領小学校のみで、午後は佐々木を筆頭とする5人体制になっていた。高橋が進行を引き受けた背景には、午後のぶんまで午前に働こうということもあったようだ。

「たまに小学校のときに在籍していたチームに顔を出すことはしますけれども、教えたりするのは初めてです。(子どもとふれあってみてどう?)すごくかわいいです。お手本にならないといけないな、という気持ちは芽生えました」

◯林容平と室屋成の談話

林「(ガラガラ声で)脚が痛くて走れませんでした。そして喉が嗄れて声が出ない。二日間、声を出したら喉が。たいへんでした」

室屋「すごくノリのいい、元気な子たちだな、と感心しました。からだを張りました。喜んでもらっていたのでよかったです」

FC東京入団記者会見でもスピーチ力の高さを垣間見せた室屋だが、子どもたちに囲まれて自信がみなぎったのか、声のトーンにハリがある。
室屋「応援してます、ってみんな言ってくれました。けっこう女の子がぐいぐい来ていたので緊張しちゃいましたけど。林くんよりぼくだったんだと思います。(※ちゃうちゃう、という林の無言ジェスチャーに)林くんがそれはちがうよと言っています」

ドリブル競争のとき、子どもチームを有利にさせるために距離を縮めていく小芝居でゲームの盛り上がりに貢献した林は「ヒデくんに言われました。調節しろよ! って睨まれたのでやりました。怖かったです」。

◯高橋秀人の談話

ほかの選手に任せるよう言っていたにもかかわらず、場を仕切った高橋。「2校めに行かないので」という事情が、奮闘した理由だったようだ。

選手会の一員としての自覚が、選手たちの行動を促している。
「選手会の活動として地域貢献はこれからもやっていかないといけない。FC東京に興味を持ってくれる子どもたちを増やすことも自分たちの仕事ですから」

くだけた口調での臨機応変な対応も考えられたものだった。
「堅苦しいのは嫌だし、やらなければいけないと、決まっていることに沿いすぎるとよくないので。そのときの雰囲気と子どもたちの様子とで、言うこと、やることを変えないと、と思って臨みました」

まだあたたまっていない、入りの時間帯の雰囲気づくりについては、ちょっとした苦言があった。
「あの辺りは選手が配慮しないといけないですね。子どもたちがあたたまっていないのは当然のこととして、選手があたたまっていない状態については、もう少しできることがある。それも勉強だと思います。(自身はあたたまっていたようだが?)学芸大出身の先生にプレッシャーをかけられました(笑)。見られているぞ、と」

なお、この日の給食は、栄養学的に食事にこだわる高橋を喜ばせるに十分なものだったようだ。
「超うまかったです。いままで食べた給食のなかでいちばんおいしかった。ここもそうですが、学校のなかにつくる施設がある場合は、基本的においしいみたいですね。栄養士さんも優秀な方とうかがっています。ハビ(ハ デソン)が大絶賛していました。子どもにとってもいいことです。いま、子どもに好き嫌いが多くなってきているようなので」

 

 

 

 

 

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