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【無料記事】トップ対U-23。火花散る激しい紅白戦で、貫禄を見せた河野広貴「次、負けられないですもんね」(2016/07/21)

小平グランドに異様な光景が拡がった。20日、練習の最後に実施された紅白戦は直近のトップチーム対直近のU-23。互いに4-4-2で臨み、U-23は最近取り組んでいる3バックではなかったものの、林容平、ユ インス、水沼宏太、佐々木渉、野澤英之、平岡翼、岡崎慎……といったメンバーを、スタッフのひとりと、羽生直剛、平山相太、吉本一謙などの選手が補うかたちで再構成。岡崎がムリキに寄せるなど、トップの選手に激しくぶつかっていった。

公式戦に迫る見応え。スピードがあり、プレッシャーが強く、なにより選手から感じられるテンションが高い。しかしその拮抗した試合で唯一の得点を挙げ、貫禄を示したのは、トップチームの右サイドハーフ、河野広貴だった。河野は脚を傷めて退いたが、練習後は歩いて引き上げていた。一部にちいさく血が滲んでいるのがわかる。
心配になって声をかけると、河野は笑顔を見せた。
「大丈夫。あとに響くけがじゃない」
唯一の得点を挙げてU-23に貫禄を示したのでは――との問いには頷いてくれた。
「U-23は勝って帰ってきたばかりだし、自分はこのあいだ(対柏レイソル戦の先発を)外れたから、アピールしようと、点を獲ってやろうと思ってました。次、負けられないですもんね」

トップチームの試合を観ていて、河野が退くと、得点の匂いがしなくなるときがある。チャンスをつくる創造性を持ち合わせているこの男がどれだけのパフォーマンスを発揮できるかは、勝敗にダイレクトに結びつく。やる気を漂わせているのはいい傾向だ。

この河野の話題を振ると、羽生は「言っても、あいつはサッカー小僧なので」と笑った。
「なんだかんだで。負けず嫌いだし。チームを勝たせたい、ゴールを決めたいという気持ちが強いやつだと思う。あまり外には見せないけど、サッカー小僧であることはまちがいないと思います」

ネイサン バーンズとムリキがいかに優れていようと、そしてカウンターに備えていようと、彼らだけでゲームをつくることはできない。森重真人に点を獲らせるコーナーキックを蹴り、守備のタスクをこなしながらも攻撃に関わる河野の働きは、多摩川クラシコでも重要な位置を占めるはずだ。
生え抜きの主力に守備的な選手が多い東京で、対人に優れた攻撃の才能は「ヴェルディ系」に負うところが大きい。そのライバルクラブから輸入された河野が、青赤に染まって久しいとはいえ、強烈にフォア・ザ・チームの姿勢を印象づけた。この心意気が全体に伝播することを、願わずにはいられない。

 

 

 

 

 

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