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【有料記事/J1_2nd第11節第2報】解説+コメント◆吉本一謙、秋元陽太、田邉草民、前田遼一、橋本拳人、中島翔哉、室屋成(2016/09/11)

◯解説

第1報でフォーカスした河野広貴以外の選手コメントをお届けする。

ルヴァンカップで結果を残し、コンディションも良好だった吉本一謙は、この試合でも堂々の先発。湘南ベルマーレを完封、意気揚々とミックスゾーンにあらわれた。
終盤は5バックの中央に入り、ディフェンスリーダーの風格。その守備の狙いを話してくれた。何かのおりに篠田善之監督は「5バックと言うと引いてしまうので、攻撃時には3-4-3という伝え方をしている」と言っていたが、守備時5-4-1、攻撃時3-4-3となる逃げ切りシステムの意図は、選手にも明確に伝わっているようだ。吉本は「ワイドには五枚のうちのひとりが押し上げることを意識した」と言い、室屋成は「あえて5バックと伝えないということはカウンターで仕留めるチャンスがあるなら仕留めてくれとぼくは捉えていた」と言う。押し込まれる状況で守備を堅く、激しくとは意識しても、ずるずる下がりはしない。その気持ちが、相手の猛攻を防ぐ要因になっていたように思う。

多くの選手が口にしていたのは、中島翔哉の挙げた先制点で試合運びが楽になったということ。序盤の10分、15分は湘南もかなりやり合う姿勢を見せていたが、そのあとは消極的に。そのぶん、東京が攻め込んでもゴールを割りにくく、半ば膠着した状態になっていた。そこを打破したのが中島翔哉。オリンピックの舞台から復帰後、さらに意識を強めた、ボールを奪ってからの速い攻めを実践、自ら運んでの豪快なシュートを決めた。もともとカウンターが大好きで、特にガーッと走ってバーンと撃つシュートを好む東京ファンにとってはたまらない得点だったが、この一撃によって生まれたリードが、湘南を再び動かし、追加点を獲りやすくする素地をつくったのだ。

高山薫を抑えることを任務としてピッチに送り込まれた途中出場の橋本拳人は、クロスで前田遼一のゴールをアシスト。何度もアタッキングサードに進入し、守備だけでなく攻撃面での貢献も大きかった。得点場面では、忍のように軽やかなステップで、狙って外に持ちだした。ターゲットとする人物ではなく、「ら辺」を狙ったというのも橋本らしい。クロスやコーナーキックによるゴールは、出し手と受け手双方の精度が問われる。言い換えれば、クロッサーはミートするべきポイントがある空間にボールを送るべきだし、シューターはそこに飛び込んでいくべきなのだ。その意味では理にかなったフィニッシュだった。

なお前田遼一は、河野広貴のゴールをアシストしたワンツーリターンを、はじめは返さないつもりでいたようだ。ターンできたらシュートを撃つつもりだったというのだ。「いつもは返ってこない(笑)」という河野の言葉は、真を突いていたのかもしれない。

◯吉本一謙の談話

――どうしてもミドルシュートを撃たれそうになる機会が多く、水際で食い止める場面もありましたが、どのように考えてプレーしていましたか。
吉本一謙「理想は最後に三枚というか五枚(5-4-1)になっても、ワイドには五枚のうちのひとりが押し上げて、守りきろうと意識して。きょうはなるべくそうしようと。どうしても引いてしまう場面はあるんですけど、3点ありましたし、それにチャレンジしようと、なるべく前に押し出して、ということを意識してやりました。湘南さんもすごくいいチームですし、最後は勝っているチームはああいう(押し込まれる)状態になってしまうんですけど、そこを水際でもみんなでしっかりからだを張って、(失点を)ゼロに抑えられたのは、自信になったかなと思います。3点差がついたゲームは(今シーズンの)リーグ戦では初めてで、このあいだはルヴァンカップで(追加点を挙げて)勝ちましたけど、追加点を獲ることが課題だったので、そこで河野(広貴)選手と前田(遼一)選手が獲ってくれて。広貴もうれしいですけどね(笑)、河野選手のゴールのほうが気持ち的にはうれしかったですけど、遼一さん、前田選手はみんなに獲ってほしいと思われている選手だと思うので、ぼくも獲ってくれてうれしかったし、またここから全員で行けるような勝利だったかなと思います」

――途中出場してきたジネイは。

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