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【無料記事/ルヴァン初戦前日レポート第2弾】「4番をなじませるゲームにしたい」吉本一謙、夢を叶える瞬間(2017/03/15)

これまでベンチに控えていた選手の先発、ベンチ外だった選手のメンバー入りが予想されるルヴァンカップのグループステージ第1節vs.ベガルタ仙台戦。センターバックでは、今シーズン、まだリーグ戦での出場機会がない吉本一謙が先発する可能性が高まってきた。もしそうなれば、下部組織にいた頃から愛していた4番を着用しての、味の素スタジアムでの初出場を果たすことになる。

これで名実ともに自分の4番と言えるようになるのでは――と訊ねると、吉本は「そこまでのことでは……」という感じに相好を崩したが、まだ「4番の吉本」が浸透しきっていないという思いはあるようだ。
「でも、なんていうんですかね。森重(真人)選手とか、丸山(祐市)選手とか、ロッカールームに入ったらいつも「おっ、カズか!」みたいな反応で(笑)。背番号が隣(※3=森重、4=吉本、5=丸山で全員隣り合っている)なので。(昨年までと異なり)『まだ慣れないわ』って言われるので、なじませるゲームにしたい。4番のユニフォームを購入して着てくれているひとを味スタでも見るし、そういう気持ちに応えられるような、責任感あるプレーをしたいですね」

先日の水戸ホーリーホックとの練習試合でもヘディングのゴールを決めたが、そのストロングポイント以外にも、現状のチームに必要な、ディフェンスラインを高くして相手に圧力をかけ攻勢に転じることでも持ち味を活かし、貢献したいと、吉本はルヴァンカップ初戦に向けてプレーのイメージを思い浮かべている。
「とにかく自分が持っている力をすべて出して、あした(15日)試合に出たら、いままで出ていた選手に喰らいついていかないといけない。自分にとっても大事なゲームだし、リーグ戦の前節でああいう結果になって、チームにとって大事なゲームだと思うので、みんなでくっついていい競争をするためにも、自分の持てる力をすべて出しきりたいと思います」

直近の公式戦、J1第3節のvs.ガンバ大阪戦では、丸山祐市がアデミウソンにかわされて先制を許したが、リスク管理の観点からは、丸山を抜かれたらもはや防御壁がないという状態になってしまっていたことがそもそも問題であったはず。その反省から、守備組織を改善し、仙台の攻撃を防ぐ必要があると、吉本は肝に銘じている。
「(ガンバ戦では)いいところもあったけれども、失点は反省。リスク管理と、アデミウソンもそうですけどミスでやられたところもある。人間誰しもミスがあるが、チームとしてなるべくミスを少なくできるようプレーし、声をかけていきたい。ひとつのミスでやられてしまうのではなく、誰かがミスをしたら誰かが助けられるような状況をつくることが大事だと思うので、そこまで含めたリスク管理をしっかりしたいですね」

仙台で主力の三田啓貴が先発するかどうかはわからないが、メンバーには入ったという情報が伝わってきていた。吉本自身と同じようにアカデミー→トップのはえぬきコースを辿った後輩の三田と再会できるとすれば、これは喜ばしい出来事に相違ない。
「タマ(三田)が中心なのはすごくうれしい。FC東京の下部組織出身の選手が外で活躍しているというのはFC東京にとっても誇らしいことだと思うので、それはすなおにうれしいですし、タマは個人的にすごくかわいがっていた後輩なので、プライベートも含めて尊敬できる選手とピッチの上で再会できるのはすごく楽しみ。感慨深いゲームになると思います。タマもFC東京を愛しているし、みんな知っていると思うけどチーム愛の強い選手なので、すごく気合が入ると思うから、最後に自分たちが笑って話せるようなゲームにしたい。それぞれの選択があるにしろ、FC東京の選手が外で活躍しているのはすばらしいことだと思う。負けないようにしたいです」

4番のユニフォームを着て味スタのピッチに立つのは、かねてより自身が夢見ていた姿だと吉本は言う。
「夢が叶う瞬間でもある。ただ、勝たないと意味がない。それ(4番を着て)で勝つ姿を想像しているので、やっぱり勝って夢見ていた姿を叶えられる、そういうゲームにもしたい」
タイムアップの笛が鳴り、勝利で背番号4デビューを飾ったそのとき、スタンドから注がれる声援が、夢の実現を実感させる。

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◆書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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