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【特別無料記事】緊急掲載◆阿部拓馬、痛みに堪えて待望の先発(2017/03/18)

3月15日のルヴァンカップで各々2ゴールの結果を残した阿部拓馬と中島翔哉が、本日18日の多摩川クラシコで先発する。
「結果を残した選手を使うとは常々選手に言ってきた」とは、篠田善之監督の弁。まさに有言実行だ。
“テスト”を突破し、チャンスをものにした阿部は、ルヴァンカップ大勝の翌日「中二日は全然あることなので」「ただただ試合が来る。それだけです」と言い、半ばリーグ戦の初先発を予期しているかのようだった。

「内容だけでなく結果を残したことは自分にとって大きな意味を持つ」
ベガルタ仙台を6-0で下したルヴァンカップの試合後、阿部はこう言っていた。もうひとつ、強調していたのは、それでも、結果よりも試合ができたこと自体をうれしく思っている、ということだった。

1年ぶりの味スタのゴールが、きわめてうれしかったのではないか。そう、小平であらためて訊くと、阿部はこう言った。
「ゴールもうれしいですけど、試合に出たこと自体がうれしかったですね。感慨深い。もう、出れないんじゃないかと思ったんで。このまま引退すると思っていた」

2016シーズンの長期離脱は、原因も定かではない痛みによるものだった。
「なんで痛いのかもわからないし、治し方もわからないし、お手上げ状態のときもあったので。そのけがをしている最中に肉離れも起こしたので、このまま終わるかな、と思いましたね」
治療法はひとぞれぞれ。手術も保存もどちらもある。いまは毎日、練習場で取り組む内容の8割から9割が、けがの痛みを抑えるためのものだという。
「こうすれば痛みが出づらい、こうすれば動きがよくなるという方法がわかっているので。それを毎日つづけている感じです。付き合いながらですね」
日常生活を送れない痛みではないがプレーに差し障りがある。痛みは唐突に消えるかもしれないし、最善の治療法が見つかるかもしれないが、それがいつなのかはわからない。
「いまは付き合いながらやっていきます」
久しぶりの90分フル出場は、それなりに堪えたようだ。
「90分はけっこう負荷が高かった。いままでにないリバウンドがある。でも、このけがには一生付き合っていくしかないので」

「結果を出した者は使う」と、篠田監督は言っていた。この言葉にも阿部は「いやもう、出たらがんばるだけです(笑)」と言っていたが、「もうちょっと欲張ってもいいんですよ?」と問いを重ねると、次のように言葉をひねり出した。
「準備とか、ふだん毎日やっていることの積み重ねが(公式戦の)ピッチにつづくと思うし、おれ自身、そこ(積み重ね)がないと試合になってもできない。精神的にも肉体的にも、いつ来ても大丈夫という状態ですね」
篠田監督は「中二日で試合をするのはサッカーではあることだ」と言っていましたが……。
「そうですね。中二日は全然あることなので。連戦できつい、という選手はいまのチームにはいないと思います。それはなんも思っていないですね。ただただ試合が来る。それだけです」

篠田監督は「前の試合が終わったら次の試合のことを考えろ」と選手に言っていた。阿部は川崎のビデオを観てイメージを働かせていたようだ。

ルヴァンカップでは1トップのトップ下が初期配置だったが、実際には2トップとも見えるような動きをしていた。
「そうですね、やってるほうとしても、あまり1とか2とかいうよりも、守備を嵌めるためにどうするかと考えてやっているので、自分の(入った)ときは。攻撃のときはどこにいたほうがいいと、こだわってやっています」
ゴールを決めただけでなくハードワーク、攻撃をつくること……全部を高い水準でこなしていたように見えたが、阿部はあの出来でも、まだまだ不足があると、反省しきりだった。
「でもまあ、もうちょっと行きたいところ、行きたいけど準備とか反応が遅れて行けないところがあったので、そういうところは試合を重ねていけば、もっと早く反応できた。そこは反省点というか、実戦を積み重ねたい。
感覚、みたいなもんですかね。気づくのが1秒遅かったとか、準備が1歩遅かったとか、そういう。実戦をすれば研ぎすませていくことができます」

試合をすればするほど、阿部の感覚は鋭敏になる。篠田監督のめざすサッカーに合致した阿部が強くなれば、それはFC東京の強さに直結する。
この多摩川クラシコで阿部は1秒、1歩の壁を乗り越えるべく、すべての神経をピッチに注ぐ。

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