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【無料記事】吉本一謙、鳥栖の親友と岐阜の後輩について語る(2017/03/30)

「違和感がある」

1988年4月生まれの吉本一謙と1989年3月生まれの権田修一は同じ学年。2001年にFC東京U-15へと加入、以後U-18、トップチームと、同じユニフォームに袖を通してきた。権田に背中を預けるならいざしらず、公式戦で彼の顔を正面に見るのは初の出来事になる。違和感をおぼえて当然だろう。つい一昨日に電話をしたばかりという長年の友人関係。ふたりが対決するとどうなるのか。まったく想像がつかない。

「ぶっちゃけ移籍に関してはいろいろ思っているひとがいると思うけど」

日頃よく連絡を取り合い、なんでも話し合えるふたりだから、当然、権田が東京との契約を解消して欧州で移籍先を探し、見つからないまま市場がクローズして次の所属を求め、ほとんどのJクラブがゴールキーパーの編成を完了しているなかで手を挙げてきた鳥栖に加入するまでの経緯についても話をした。この移籍の仕方に関してさまざまな見方があることと、権田に東京に対するクラブ愛があることを重々承知している吉本は、それらすべてを呑み込んたうえで言う。

「おれは彼のことをリスペクトしているし、いっしょに戦ってきた仲間として親友であると思っています。ピッチで再会できてすごくうれしいですし、熱い戦いをしたいですね」

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ところで、吉本も期限付きではあるが、国内クラブに移籍をしたことがある。水戸ホーリーホックでは初戦でいきなり決勝ゴールを挙げる活躍をしながら次節で重傷を負いわずか2試合の出場に終わったが、FC岐阜では一年半在籍、2009年の天皇杯では当時J1だったジェフ千葉を撃破するなどのエピソードを残していて、そのせいか岐阜のファン、サポーターにはいまでも慕われている。「僕の可愛い下部組織の後輩が~」で始まる、野澤英之をよろしくという内容のTweetも評判で、「吉本選手がそう言うなら」と、野澤を応援しようという空気が醸し出されたほどだ。

「マジすか」

いまでも岐阜のファンに愛されているという事実を吉本は喜んだ。

「うれしいです、だとしたら。あの期間でサポーターの方がそう思ってくれているというのは。ヒデのことも応援してほしいですね。ヒデともこのあいだ初めて試合に出たあとに連絡をとって『やっと出れたんでここからがんばります』と言っていたので、ほんとうにがんばってほしいです。岐阜の後輩としても、東京の下部組織の後輩としても」

縁を大事にする男、吉本。彼が言うように、4月1日に熱い戦いが繰り広げられることを期待したい。

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