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【有料記事/J1第8節第2報】「行けるときは行くという判断ができた」チームのそれと密接な関係にある橋本拳人の成長(2017/04/24)

「ボールが来そうな位置に入って。(アシストの太田)宏介くんは『見えていた』と言っていた。いいボールが来たので、流し込むだけでした」
0-2とリード、アルビレックス新潟に対する勝利に向けて大きく前進する一撃だった後半24分のゴールを振り返っての感想にしてはそっけないようにも思えるが、橋本拳人にとってそれだけ得点が珍しいものではなくなってきたのと同時に、ほかにも考えるべき事柄が多いということの証でもあるのだろう。もともと前めでプレーしていた橋本がアカデミーを経てプロで揉まれていくうちに武闘派となり、センターバックまでをも経験して守備の達人と化したのち、一定の期間を隔てて得点感覚が浮上してきたことに味わい深さをおぼえるが、やはりそれは全体のなかの一部の要素。いまの橋本は試合全体、チーム全体を掌握する総合的な選手になりつつある。

この試合で印象的なつなぐシーンと言えば、終盤に前田遼一がシュートを決めそこなった相手ゴール付近でのつなぎと、橋本が決めたゴールにいたる連動になる。橋本は、このシーンが、高い位置でボールを奪ったことで、もともと味方同士の距離が近い状態であったからこそ発生し得た、連動した攻撃であったことをよく理解していた。
「あのシーンはたぶん、いい守備から高い位置でボールを奪えて、そのままの流れだったと思う。やっぱり、それがシノさんのサッカーの原点というか。前からボールを奪いに行って、ショートカウンターというところ。そこをきょうの試合では何回か出せたんじゃないかと思います」

試合全体を振り返ってのコメントは「相手もすごくボールを蹴ってきていてそのセカンドボールの拾い合いになる時間が多かったんですけれども、もう少し自分たちの時間を増やせればいいかな、とは思いましたね。そのためにも、もっとボールを落ち着かせたり、相手の勢いを止めるようなボールコントロールをすることが課題だな、と思いました」。ストロングの部分が表現できたときにはたしかに優位に立つものの、バタバタと落ち着かない展開で消耗しやすくなり危機も生じやすくなる。相手をいなし、制圧するためのボール支配が、このチームにとっての課題であることはまちがいない。
そして、それは橋本自身にとっての課題でもある。第3節で敗れたガンバ大阪を振り返れば、遠藤保仁、今野泰幸、倉田秋の中盤が効いていた。この日はけがから復帰した髙萩洋次郎が途中出場で投入されたが、パートナーが髙萩であろうが梶山陽平であろうが田邉草民であろうが米本拓司であろうが、まずは橋本がチーム全体の“へそ”であるボランチのポジションで、ボール支配を司らなくてはならない。

ゴールキーパーとディフェンスラインの連携ということで言えば、

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