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【有料記事/ルヴァンカップGS第6節第2報】コラム◆カップ戦メンバーの奮闘が生んだ好ゲーム/コメント◆吉本一謙、前田遼一、米本拓司、橋本拳人(2017/05/25)

リーグ戦は好調だが、ルヴァンカップではグループステージでの敗退が決まってしまった。その結果を受けて柏レイソルの栗澤僚一の発した言葉は「リーグ戦と分けられているチームのなかで、結果を残さないといけないなかで、トップの選手とちょっと差があるのかと思う」だった。

この認識が非常に興味深い。常時先発とベンチをシャッフルするのではなく、リーグ戦とカップ戦で明確にメンバーを分けているために、実質カップ戦のメンバーがサテライトチームとなり、“トップ昇格”をめざしてしのぎを削る恰好になっているのだ。FC東京であれば、昨年はFC東京U-23が、この“上をめざす”チームになっていたが、今シーズンは柏同様、リーグ戦とカップ戦とでメンバーを分ける傾向にあるため、東京も東京で、リーグ戦メンバー、カップ戦メンバー、U-23の3軍体制のようになっている。結果的にルヴァンカップメンバーの士気は高い。それは、柏に勝ったこの日、キャプテンマークを巻いていた吉本一謙も証言している。

「(いまリーグ戦に)出ているひとたちに離されず、追いつき追い越していこうとするメンバーだったと思うので、みんなのやる気、気持ちをひとつの方向にまとめるように(心がけた)」
ベンチにはあかるい性格で人々のあいだに入り緩衝作用を及ぼせるタイプの永井謙佑と東慶悟が控えていて、吉本はこれについても「ベンチの選手、永井(謙佑)選手や東(慶悟)選手も含めて一体感があったと思う」と、言及している。中島翔哉ものびのびとプレーしていたし、雰囲気は非常によかった。

篠田善之監督も試合後の共同記者会見で「遼一が点を獲れたのでチームの士気も上がったし、米本が90分間、献身的にやってくれた。また、彼をサポートしたみんなが、11人がしっかりとまとまって試合を進められた」と手応えを語っている。メンバーを混ぜたからといって危機感が薄まるというわけでもないのだとは思うが、メンバーを分けたことで、上をめざそうという気運が高まり、同じ境遇の者同士、結果を残すこと=勝利に向けて団結しやすい状態になっている感があるとも思う。この日の殊勲者となった前田遼一にしても、今シーズンの開幕当初は先発を外れながら、日々の変わらぬ努力でリーグ戦のポジションを掴んだ選手。カップ戦メンバーの気持ちはよくわかっているし、彼らも前田を認めているはずだ。

まとまりのよさは、友情と競争心のバランスがとれている証とも言い換えることができる。橋本拳人はボランチのポジションを争う米本拓司について「これから競争があると思いますけれども、負けないようにがんばりたいと思います」と、競争心を示すと同時に「言葉で言うのはかんたんですけど、そうとう苦しい思いをして戻ってきたと思うので、これからいっしょにがんばっていきたいなと思います」と言い、労苦を労い、チームメイトとしてともにがんばろうという意思をあらわしてもいる。

フェアな切磋琢磨はおそらく両方のチームにあった。リーグ戦のメンバーが出場しない平日夜のカップ戦となれば、一見、興行としての華に欠けるようだが、この日のピッチ内は最後まで高いテンションが落ちず、両チームのファン、サポーターも懸命に応援し、また試合を楽しんでいた。柏と東京のカップ戦メンバーの奮闘が、プロのサッカーに必要なものがなんなのかを表現しているようだった。

◯吉本一謙の談話

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