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【無料記事/J1第26節Preview第1報】太田宏介間に合った! 負傷後の身ながら選択肢に入ってきた6番「あした点獲ります」(2017/09/15)

負傷で14日は別メニューとなっていた太田宏介が、あす9月16日のJ1第26節vs.ベガルタ仙台戦に出場できる可能性が高まってきた。太田自身は「きょう練習できたので大丈夫。あしたは点を獲る」と、自信をのぞかせるコメント。久々に彼らしい快活さが漂っていた。

堂々の復活だ。安間貴義監督が「メディカルには試合に間に合うトライをするよう要請している」と発言してから二日。急ピッチで治療を進めてきた。
ボール廻しの際に誤って接触されたことで捻挫。その後紅白戦に出たものの、数分で下がった。しかしそこから治療に集中し、階段を勢いよく登るほどに回復した。

「心機一転、今週はみんなすごく表情もよくいい雰囲気でトレーニングに取り組めていた」
安間監督が指揮を執りはじめて四日。空気が一変したことは、出場機会を失いがちになっていた太田自身が実感していた。
「全体があかるくなった。みんなすごく前向き。こういう姿勢は必ずあしたの試合に生きてくる。しっかり勝って、安間さんにとっていちばんいいスタートにがんばるだけです。一週間でサッカーを変えることは難しいから、とにかく勝てていない味スタで笑って終われるようにしたい」

いま太田に求められているのは、ボールを大事にするサッカーのなかで、ボールを保持する中盤から出てくるパスをいかに引き出し、いかにゴール前へと送り届けるか。その呼吸、受け手と出し手のタイミングを完全にすり合わせることは、短期間には難しいにしても、初の実戦に臨むにあたり、イメージを抱くところまでは準備ができていなくてはならないはず。太田の言葉を聞くかぎり、その最低限の備えはあるようだ。
「守備、守備というよりも自分たちがボールを持って優位に進めるゲームをしたいという安間さんの狙いがあるから、それができれば自然と押し込めると思う。ぼくも周りに活かされる選手だと思うから、前の選手に入ったサポートをしてサイドで決定的なクロスを上げたり、攻撃にかかわっていけたらいい」

点を獲られたら獲り返すような果敢なサッカーになるのか──と訊ねると、太田は頷いた。
「点を獲らないと勝てない。もちろん守備のバランスを崩さないのは大前提として、もっともっと全員がアグレッシヴに、リスクを負ってでも前に出ないといけないと思うし、そういう姿勢はここ数試合、自分がベンチで見ていてもなかなかなかった。前に行く姿勢を見せないといけないと思います」

もう何度もメディアに上がっていることだが、太田は一時期、世代交替の波に、自ら引いているように、安間監督の眼に映っていた。しかし前節、スパイクを叩きつけ、感情を露わにしたことで、太田の奥底に燃えるものが潜んでいることも、またあきらかになった。安間監督は「世代交替を進めようと思うが、無理やり若手にポジションを与えるようなことはしない」と言う。太田が実力を示しつづけるかぎり、左サイドのポジションは彼のものだ。

「みんながいろんな気持ちをもって過ごしてきて、悔しいを思いをしていると思うし、カップ戦もなくなって難しい状況だけど、自分のなかではすごく前向きに考えています。とにかく、残り9試合をむだにしたくない。思いをしっかりあしたの試合にぶつけて、それが結果につながればいちばんいいし、そろそろ、オレも味スタで点を獲りたいと思います」

これはうれしいひとことだった。「こんなに消極的な雰囲気になってしまったのは初めて」と、愕然とするほどの状況を経て、監督交替によってチーム改造に着手しつつある現在、太田の口から威勢のいい言葉が出てきたこと自体が、選手個々に健全なファイティングスピリットを取り戻しつつある証左となる。

「あした点獲ります」
太田は最後に、もう一度繰り返した。

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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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