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【有料記事】橋本拳人、久しぶりのJ3で“開眼”。再開後のJ1先発争いに名乗り(2017/10/03)

解脱すら感じさせる橋本拳人、充実の表情。かつての佐藤由紀彦の言葉を借りれば、拳人はJ3で魂を磨いたに等しい気づきを得た。

J1、J3全試合を通じても、これだけアグレッシヴで充実した内容の試合はないのではないかという快勝。10月1日の味の素フィールド西が丘で躍動した選手たちのなかに、前日のJ1で先発から外れた橋本拳人の姿があった。
グルージャ盛岡に苦しめられながら前半45分間は無得点。0-0で迎えたセカンドハーフの序盤に、勝利を手繰り寄せる追加点。左から小川諒也が上げたクロスをリッピ ヴェローゾが折り返し、盛岡の選手に当たりコースが変わったところ、最後に橋本が押し込んだ。
先制点の直後。相手には大きな打撃、自分たちにとっては勝利を確信する大きな喜び。笑顔が溢れていた。

橋本は「ごっつぁんです」と謙遜するが、ごっつぁんゴールを決めるにはそれを決められるポジションにいなくてはならない。シュート位置に入っていく動きがもたらしたゴールはこの日の1点だけではない。
「ぼくはワンタッチゴーラーなので。和製インザーギと呼んでください」

彼が置かれている状況はあまり好ましいものではない。
篠田善之前監督が最後に志向していた3-1-4-2のチームでは不可欠の心臓としてボールを奪ってから前線に躍り出るアクションで貢献していたが、ポゼッションを掲げた安間貴義監督の3-4-3ではその特長が埋没。翳りゆくプレーに安間監督が断を下し、直近のJ1第28節では東慶悟にボランチのポジションを譲ることとなった。

そうして迎えたアピールの機会だけに、期するものがあった。
J3第25節、FC東京U-23vs.グルージャ盛岡。J1とは異なるのびのびとした空気に包まれ、若い仲間に引きずられるかのように、勢いのあるチームで自分を表現することができた。
「ことし初めてJ3に出ましたけど、安間さんが常々言っているポゼッションを意識してやれたなかで、アグレッシヴさが非常に出ていた試合だと思います」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ダイナミックな動きがあるなかで全員がいいポジションをとれば、必然的にボールが廻るのだということを実感しました。ボールを廻そう、廻そうと思ってポジションをとろうとすると、行き詰まる」
ポゼッション。パスをつなぐ。それが頭にあるからか、最近のJ1の試合では、まず足許でつなぐという手段が目立っている。しかしJ3では、はじめに躍動ありきだった。
「やっぱり誰かが動くから、そこに誰かが顔を出してフリーになれる。つなぐというよりも、フリーの選手をつくる。そういった動き出しがJ3では非常に多くて、それはJ1にはないところだなと感じましたし。相手の水準も関係しているかもしれませんが、チャンスを数多くつくることができました。そのなかでボランチとして前に急ぐべきか、いい動きをあえて使わずにうしろでつくるかという判断の精度を上げていけたらいいと感じました」

トップチームはまだ新しい方針を掲げて間もなく、

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