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11月攻勢に掲げる内田宅哉のテーマとは

J1は10月29日の第31節で中断するが、J3はその後も休まず開催される。若手にとってはトップチームのメンバー入りに向けてアピールの場がつづくことになる。この11月攻勢にどのようなテーマを携えて臨むのか。FC東京U-23のメンバーはそれぞれ心に決めたものがあるはずだ。

この問いに内田宅哉は「とにかく『結果を残す』というのがテーマです」と答えた。

さまざまなポジションでFC東京U-23に出場し、今シーズンのJ3で前節までに残した成績は21試合1,788分間出場1得点。ゴール数が寂しいぶん、勲章はルヴァンカップグループステージ第3節vs.ジュビロ磐田戦で途中出場、大久保択生の退場によって人数がひとり少ない状態でドイスボランチの一角を占め、トップ下とボランチの位置を往復するような攻撃的な動きで失われたバランスを補ったあの18分間プラスアディショナルタイムの活躍ということになるが、それすらも遠い記憶となっているのが、いまチーム内で内田が置かれている状況だ。
リッピ ヴェローゾが短い時間ながらもJ1に出場し、同期の岡崎慎が試合に出なかったとはいえJ1のベンチに座ったことは、FC東京U-18から昇格した若い選手たちにとり、強い刺激になっている。内田は言う。
「ルヴァンに最初に出たことも忘れられているというか、もう真っさらな状態になっているので、最近の(ポジション争いの)なかでどれだけJ1に絡めるのかが大事になってくると思う。練習をしている実感としてはそれほど選手間の差はないと思いますし、結果を残すか残さないかで決まってくる。そういうところでリッピとは明確なちがいがありますから、まずは結果を出しつつ、質の面でもいいプレーをして自分の持ち味を出していかないと」

ユ インスもリッピも、J3の公式戦で点を獲ったあとに、J1のメンバーに選ばれている。フォワードだからということもあるが、この選考基準は露骨なほどだ。ゴール以外のプレーも重要だが、やはり得点が大きな比重を占める。その現実を内田は噛み締めている。
「J1のコーチ陣があらためて試合を観る前に、誰が点を獲ったかが印象に残っているはず。だからアシストなり、(得点の記録に)自分の名前が載るようにできればいいかなと思います」

3-1-4-2になったり、3-4-3になったりと、フォーメーションの変遷に伴い、内田のポジションはなかなか定まらなかった。どこでどういう力を出せばよいのか、その発揮しどころを探すのは、やはり難しい作業だったようだ。
「3-4-3でウイング(バック)をやったときがあって、そのときは自分がどういうプレーを求められているのかわからない部分もありました」
今シーズンの前半は、ボランチも経験していたポジションであったとはいえ、アタッカーのイメージが強いのに、トップの試合(ルヴァンのvs.磐田戦)にボランチで出場、落ち着きがあってすごいな──と東京を観る者は思っていたはず。だが、フォーメーションが4-4-2ではなくなり、内田のポジションが4-4-2のボランチでもサイドハーフでもないとなると、どこがハマるというのか。いっとき低迷したように見えたのも無理はない。内田は「どこのポジションだったら自分の持ち味を発揮できるのかということも、システムが変わっていくなかで、考える部分はありました」とも言っていた。
しかしそれを言い訳にしたり、腐ったりはしない。
「ですが、そのなかでも結果を残さないといけないですし、与えられたポジションでいいプレーをしないといけない」
決意はあきらかだ。どのポジションであっても目に見える結果を残す。

「特に前線の選手は目に見える結果を出さなければJ1に行けないことがはっきりしているいま、J3第29節のvs.福島ユナイテッドFC戦にどういう心づもりで臨むんですか。たとえ起用法がどうなるか不透明であるにしろ、足跡を刻むために何かをしなければいけないわけですよね?」
こう訊ねると、内田はチームのリズムを崩さず機能させながら、自らを活かす覚悟をあらわした。
「前回の試合(第28節、アウエーのvs.FC琉球戦)も、たぶんこれまでだったら負けてしまうようなゲームだったものを、耐えて引き分け。その前は3連勝です。チームとしては4試合負けなしでここまで来ている。チーム的にいい部分を継続しながらも、自分が結果をだせるように貪欲にやっていけたらなと思います」

オーバーエイジ(OA)不在の試合は、いいときもあれば大敗もするといった調子で波が激しい。だが直近の「4試合負けなし」のうち3連勝にOAが関与しているなか、前節はOA抜きで、厳しい台風下の試合を1-1で引き分けた。ここに内田は手応えを感じている。
「今シーズンが始まった最初の頃と比べてそう感じられるところはあります。きょう(26日)もやりましたが、近頃の紅白戦では自分を含めて若手はそれぞれの(個性を伴った)プレーができ、いいパフォーマンスを発揮できていると思いますし、トップの試合に出ている選手たちと遜色なくできていると思います。あとは結果を残すとともに、こまかい部分の質を上げることが大切だと、自分としては捉えています」

自己表現としても、勝ち残るためにも、プレーにこだわり結果を残す。言葉にしてみれば当然でも、それをあらためて自覚することに意味がある。苦渋を舐めた大半の時間からの11月反転攻勢。J3組の熱い秋が、西が丘のvs.福島戦から本格化する。

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

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