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【ランダムフォーカス】よみがえる記憶~木山隆之監督


3月19日の讃岐戦に向け、練習後に木山監督の囲み取材をしていた時のこと。ホーム開幕戦を第4節にしてやっと迎えることについて聞くと、本当にやっとだよね、という様子で「ねえ!」と苦笑いしながら、「でもね」と、自身の現役時代の経験を話してくれました。

「98年に札幌で選手をしていた時、開幕から何試合か、ホームゲームをユアテックでやったんですよ」

木山監督は、98年からJリーグ入りしたコンサドーレ札幌にG大阪より移籍。当時まだ札幌ドームはなく、ホームスタジアムの札幌厚別公園競技場は雪で使用できません。そこで、リーグ開幕から1ヶ月ほどの間、97年に竣工したばかりの仙台スタジアムをホームとして試合を開催していたようです(この時ベガルタ仙台はブランメル仙台としてJFLに所属)。調べてみると確かに、3月21日の開幕・清水戦を日本平で戦った後、第2節の鹿島戦は仙台スタジアムで札幌のホームゲームとして開催されています。北海道での初戦は4月4日、第4節G大阪戦でしたが、会場は室蘭入江運動公園陸上競技場。そして4月15日にもう一度仙台スタジアムをホームとして浦和戦が開催されているのですが、この時期まで、チームは仙台に滞在して活動していたようです。

「確か、ユアテックでアントラーズやレッズとやって、仙台からアウェイを戦いに行ってた。札幌に帰ったのが4月の半ばくらいじゃなかったかな。それまで国分町のホテルに泊まっていました」

今年、山形のキャンプは47日に及びましたが、ホームを留守にした期間は「今回よりあの時の方が長かったんじゃないかなあ」と、監督は記憶をたどっていました。

※クリックするとPDFファイルが開きます

ちなみに、この時の札幌vs鹿島の試合は、仙台スタジアムで行われた初のJリーグ公式戦だったそうです。公式記録はこちらです。

「僕も年をとってきたから記憶が定かじゃないんだけど」と言いつつ、調べてみた記録はほぼ木山監督の話の通りでした。すっかり忘れていたのは私の方で、この話を聞きながら、実はこの試合を観に行っていたことをじわじわと思い出しました。「昔、札幌と鹿島の試合を仙台スタジアムで観た記憶があるけど、あれはなんだったんだろう……?」と、時々不思議に思い出していた、その謎がこの度めでたく氷解。個人的にスッキリしました(笑)。

上掲の公式記録を見ると、木山監督が現役だった頃のJリーグの顔ぶれがわかります。鹿島のメンバーには奥野僚右元監督の名前も。次節は対戦相手のコーチとしてホームで迎え撃つことになります。いろいろな意味でJの歴史を感じるエピソードでした。

文:頼野亜唯子

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