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【ランダムフォーカス】落ち込んだりもするけれど~阪野豊史選手

さまざまなアオリ文句に彩られることになった愛媛戦でしたが、「因縁対決」というのもその一つ。個人的には「因縁」というとなんとなくオドロオドロしいというか、恨みつらみ的なダークなイメージがあったのですが、辞書を引けばそんなことはなく、いたってニュートラルな言葉でした(「因縁をつける」という使い方もありますが、こちらの方が派生的なようです)。というかもともとは仏教用語。「つながり」「縁」といった意味と思えば「アオリ」の作用も受け取り方次第でしょうか。

しかし、プロモーション目的のアオリとはいえ、通常の「古巣対決」以上の意味づけにさらされて、選手たちには余分なプレッシャーもあったはず。しかも完敗という結果ですから気持ちの切り替えが気になって、当事者の一人である阪野選手に聞いてみました。

「そりゃ落ち込むけど、ずっと落ち込んでいたらこの職業はやっていけない。リーグも混戦なので、こんな1試合2試合で下を向いている暇はない。目の前の試合を大切に戦っていくだけです」

前向きな言葉はありつつも、やっぱり愛媛戦の後は落ち込んだのか……と思って更に聞いてみると、「勝った時や点を取った時以外は、いつも落ち込んでいます!」とのこと。むしろ愛媛遠征では、敗れた悔しさの中にもほっこりする出来事がありました。

「愛媛のサポーターさんが帰りのバスのところに来て声をかけてくれたり、差し入れを用意して来てくれた人もたくさんいて。愛媛で活躍していなかったらそういう人も少なかったと思うから、そこは素直に嬉しかったです」

愛媛の人たちの自分への評価と思いをあらためて感じられたことは、阪野選手にとって更なる自信とエネルギーになるに違いありません。

「落ち込むことがあっても、やるしかない。やらなかったらただ出られなくなってどんどん下に行くだけ。やれることを100%でやらないと、急にはうまくならないし、急にはよくならない。気持ちが落ちて50%でやっていたら後々後悔するけれど、常に100%でやっていれば、ダメでも悔いは残らない。よくなるためにはそれが一番近道だから、落ち込むけど、目の前のことをしっかりやるということです」

文・写真:頼野亜唯子

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