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【ランダムフォーカス】キム・ボムヨン選手

後半アディショナルタイムの永藤選手のゴールでなんとか勝点1をもぎとった千葉戦では、一昨年までモンテディオに所属していたキム・ボムヨン選手との再会もありました。モンテではサイドをアグレッシブに駆け上がる姿が印象的な選手でしたから、センターバックでの先発に驚いた方も多かったのではないでしょうか。でも、人懐っこい笑顔は変わらぬまま。試合後のミックスゾーンでは、何人ものクラブ関係者に声をかけられ、さらに磨きのかかった流暢な日本語で応じていました。

取材中、千葉が終始主導権を握りながらも敗れてしまった前節・湘南戦の話になったのですが、その時にボムヨン選手がこんなことを言っていました。

「サッカーって、内容だけじゃない。今日もそうじゃないですか。ずっと俺らが攻めていたのに、セットプレー一発で失点して。でもサッカーってこういうことだし。どうなるかわからないのがサッカーだと思います。人生と一緒じゃないですか(笑)」

キム・ボムヨン選手は2013年にモンテディオに加入。2014年のJ1昇格に貢献し、2015年シーズンはJ1で、その野性味溢れるプレーを披露しました。それが認められる形で2016年にはJ1広島に移籍。ただ、広島では2試合の途中出場の記録だけを残し、7月にJ2だった清水に期限付移籍しました。そこで8試合に出場しましたが、今季はJ1に昇格した清水に完全移籍した上で千葉へ期限付移籍。フアン・エスナイデル監督のもとで、ここまで26試合に出場しています。

大好きだと言っていた山形を去り、J1での挑戦を続けようとしたボムヨン選手にとって、昨年は試練の一年だったのではないかと思いましたが、そんな問いにはやはり笑顔で、ポジティブな言葉が返ってきました。

「試合に出ればもちろん成長するんですけど、出られない時も成長します。試合に出られない時にどう考えて前に進んでいくか。僕は諦めないで頑張って、1年間いろんな監督やチームメートにいいサッカーを教えてもらって、成長して、今の結果につながっていると思います。今もまたいい監督に出会って、半年で成長したと思います」

母国を離れてサッカーで勝負する。何が起こるかはわからないけれど、何が起きても自分の成長に変えていくーーそんなたくましさを感じました。

「僕自身だけじゃなく、チームももっと成長して、プレーオフに行きたいですね」と言うボムヨン選手に「山形も一緒に!」と返すと、「そうですよね、2014年みたいに」と目を細めました。あのプレーオフ決勝の舞台を目指す理由が、もう一つできたような気がしました。

文・写真:頼野亜唯子

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