『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』 アドリブで反応していたのはこっちのほうだよ! (柳下毅一郎)-3,363文字-
監督 佐久間宣行
脚本 オークラ、佐久間宣行
出演 劇団ひとり、おぎやはぎ、バナナマン、みひろ、葵つかさ
『キス我慢選手権』とはテレビ東京の深夜人気バラエティ『ゴッドタン』の1コーナー。セクシー女優が色気たっぷりにキスを迫り、それをどこまで我慢できるかを見て笑うというもの……と知ったように書いているが、もちろん元のコーナーのことは知らない。というか何度かザッピング中に見たことがあるというだけ。まあセクシー美女が無駄に迫ってくるというだけでも面白いと言えば面白いが、わざわざ映画にするようなもんなのかそれは?と疑問だらけだったのだが、どうやらぼくの知らないあいだにこのコーナーは独自の進化を遂げており、相手の美女が無茶苦茶なことを言い出してキスを迫り、それをアドリブでどう躱すのかを見せ、さらにはそのアドリブの見事さで「劇団ひとり」が天才的だと称され、すっかり「ひとり」のアドリブを楽しむコーナーとなっているのだという。そのうちにただキスを迫る美女だけでなくそのサイドストーリーも膨らみ常連俳優も登場して壮大なドラマが展開しているのだという。その「アドリブ芸」と無茶なドラマを楽しむのがこのシリーズなんだそうな。いやー知らなかったなー。
なのでこの映画でも、冒頭、別の番組のロケと称して地方に連れてこられた劇団ひとりが『キス我慢選手権』のロケと告げられて「あーだと思ったんですよ。そうじゃなきゃこんなメイクさせられないもんなあ」とびっくりし(てみせ)、これから二十四時間のあいだキスを我慢しなければならないというルールを告げられる。観覧ワゴンでは白いガウンのようなものを羽織ったおぎやはぎ、バナナマンらの面々が(頑張ってググって覚えた!)モニターで突っ込みを入れる中、何も知らされないまま露天風呂で葵つかさに迫られ(ちなみにここでは一瞬だけだが葵つかさがオールヌードになるので今後の展開に期待させる。ま、期待だけだったけどね……)、当然どういうシチュエーションなのかわからないので受け身のままアドリブで躱す劇団ひとり。どうやら彼は二年間記憶喪失に陥っており、その間葵つかさとラブラブな恋人暮らしをおくっていたらしい。つかさが出ていくと入れ替わりに美女二人がやってきてキスを迫る。これを躱すと、二人はいきなりナイフを抜いて襲いかかってくる。
「どういうことなんだ!?」
「あなたは世界一の暗殺者。でもあなたを殺さないと人質が殺される……!」
逃げる劇団ひとり。と、そこで銃声が響き、追っていた女性は次々に倒れる。なんなんだ?というところに黒服の集団があらわれる。
「どういう展開なんだこれは」
と突っ込みを入れる劇団ひとり。襲いかかってくる黒服をばったばったとなぎ倒し……
いやちょっと待ってくれよ。
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