▽[殺し屋日記] 柳下毅一郎の11/4 -15 『天国の門・完全版』・『ビッグ・コンボ』・一箱古本市古本ゲリラ・『家族喰い』・ヨコハマフットボール映画祭
11/4(月)
シネマート新宿に『天国の門・完全版』を見に行く。
実に三十年ぶりの鑑賞で、前回見たのは一時間短いバージョンだったはずである。だが驚くほど印象は変わらなかった。一時間の長さの違いが感じられないというのはどういうことなんだろうかね。
ところでデジタル修復できれいになったはずなんだが、ぼくにはむしろかつて見たフィルム版のほうがより撮影の凄みを感じられた気がした。どういうのか、埃が埃にしか見えないというか……
11/5(火)
ゴールデン街のバーに行ったら新宿タイガーマスクに遭遇。なぜか説教をくらう。
11/8(金)
同じく映画を見に来たジム・オルークに美味しいイタ飯を教えてもらって食べに行った。で、そこまでは良かったんだが、そのあとに行った店がとんでもない店で……あまりに凄すぎて、逆に誰を連れていくと面白いかな……とか考えてしまった。
11/9(土)
そうか今日からか……と思い出したのでシネマスクエアとうきゅうで『タイガーマスク』。場内10人くらい。
それにしてもシネマスクエアとうきゅう、東京最初だか二番目だかのミニシアターで、ラグジュアリー感を売り物にしていたはずだが、今となっては壊れた肘掛けも直さずに放置されるていたらく。ミラノビル自体が近い将来の取り壊しと立て直しを視野に入れてるんだろうが、ともかく古びる一方でまったく手をかけていないのがまるわかり。ひどい寂れ方には映画以上に心が寒くなった。
コマ劇場跡地のTOHOシネマができたらちょっとは雰囲気変わるのかなあ。でもパンテオンの跡地に映画館を残さなかった東急だからな……
11/10(日)
おなじみ古本トリオでやってる一箱古本市古本ゲリラ。今回も神田のTrans Art Tokyo 2013で。二階の会場まで古本を運び上げるのがたいへん過ぎて死ぬかと思った! 例によって別に珍しくもない本をバタバタ叩き売り。実録事件本(ダブリ)だけは丁寧に解説をつけてお売りする。
今回、四谷三丁目のスナック・アーバンが出店してアルコールを売っていたのだが、我々が本をせこせこ売って稼いだ金がどんどんアーバン販売のお酒に吸い上げられていくありさまに、食物連鎖の最上位はアーバンなんだなあと思うことしきり。
終わりごろ、外に飯でも食いに行こうと思ったら、大木裕之とばったり。大木とは大学時代からだが、いつも思いがけぬところでばったり会うつきあいを続けてもうウン十年。何してるのかと思ったら同じくTATに参加しており、隣のビルの一室にアーティスト・イン・レジデンス的に住んで製作中だという。まあ大木は存在そのものが芸術みたいな奴なんで……で、誘われるままに部屋に行ってみたらとんでもない汚部屋で……芸術の道は厳しいのう。
11/11(月)
尼崎連続変死事件についてのドキュメント『家族喰い――尼崎連続変死事件の真相 』(小野一光)読む。
今年の犯罪本・オブ・ザ・イヤー決定(オレ認定)。
11/12(火)
シネマート新宿にて『ハダカの美奈子』。
まさかのSF! いやあ、映画って見てみないとわかんないもんですなあ。
11/14(木)
東映試写室で『愛の渦』。なんかたいそう評判がいいらしいボツドール三浦大輔による自分の舞台の映画化。いや……正直何も斬新なものは感じられず、何がそんなに評判なのか……
ついRicoh Thetaを衝動買い。
360度のパノラマが一発で撮れるというギミックカメラなのだが、これが面白い。飲み屋に行くたんびに店内ストビューを作っている。問題はつねに自分の顔が写ってしまうということだね。今日は酉の市だった。
11/15(金)
来春2月開催予定のヨコハマフットボール映画祭打ち合わせ。作品をゆるゆる決めていくなど。
次回も日本未公開のサッカー映画を何本か公開していく予定です!