柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『HO~欲望の爪痕~』 -渋谷を生きるピンプの「ストリートのリアル」がさっぱり謎 (柳下毅一郎) -4,085文字-

HO~欲望の爪痕~ [DVD]
『HO~欲望の爪痕~』

監督・アクション監督 柴田愛之助
企画 YOCCHI 原案 D.O
脚本 久保田浩康
音楽 JASHWON、柴田愛之助
撮影 今井哲郎
編集 柴田愛之助、木村雄太
出演 横山美雪、虎牙光輝、桃宮もも、中原翔子、島津健太郎、黒田勇樹、前田耕陽

 

 

ico_yan 2011年3月11日、東日本大震災が日本を襲った。その後の東京、渋谷。アンナ(横山美雪)は渋谷の街角に立ち、客を取る“売春婦”。ある日、アンナは警察に捕まりそうな所、偶然居合わせたもう一人の“売春婦”ミク(桃宮もも)に助けられる……あーはいはい震災ものかと言いたいところなのだがチラシによると「本作の企画は渋谷を生きるリアル・ピンプ(売春斡旋業)のYOCCHIがピンプとして見てきた、数々の女の子達の末路をよりリアルに描く」って「ピンプ」とか言うとストリートな響きだけど要するにヒモじゃん!てかたぶん映画内の描写を見るかぎりはデリヘル業者。そいつが企画をたてて、「ヒップホップMC」のD.O が原案、「ヒップホップ的な流れと映画が合体」して横山美雪主演の震災映画が誕生してしまったのである。ちなみにタイトルは「「HO」=(売春婦)を意味するストリートスラングである」だそうで、たぶんHookerの略なんですが、「ほー」と発音してください。さて。

さて、いきなりシャブを打たれつつ激しい「キメセク」でいっちゃってる女ミク(桃宮もも)。「なんでこんなことになっちゃったんだろ……アンナ……会いたいよ……」

話は少し前に遡る。渋谷の街角でぼーっと立っている女アンナ(横山美雪)、男に声をかけられると「割り切りで二万」と答えてホテルに向かう。あわや入ろうとしたところ、いきなり見知らぬ女がなれなれしく声をかけてきて、男から引きはがす。

「何よ。邪魔しないでよ」
「あんたはじめてなんでしょ……あいつ囮警官だから。このままホテル入ったら逮捕されちゃうよ~」

 というわけで妙に馴れ馴れしいミクに救われたアンナ

「お金困ってんなら仕事手伝わない?」
「それってウリよりヤバイ仕事じゃないの……?」
「もっとクールな奴!」

 ミクは「美女二人神待ち中。3万で3PもOK」と出会い系掲示板に書きこむ。おいおいさらに値下げしてんじゃねーかよ……と渋々のアンナがついていくと、ミクはうまいこと相手をシャワーに送りこんでおいて、客のカバンをもって脱兎のごとく逃げ出す……「クールな仕事」って枕ドロかよ!

 

 

「やったあ! あたしたち、ズッ友だよね……!」となついてくるミクはアンナをつれて、いきつけのクラブで「ラムネ切らしちゃったんだ~」と錠剤を買う。「えー別に危ない薬じゃないよ。鬱病の人が飲む奴だけど、気持ちよくなるんだよ~」(デパスか!?)と無邪気なミクに対し、アンナはいきなり薬をライターで焼き「もうやめないと友達もやめる!」と迫る。ミクも薬をやめると約束。二人は仲直りのために違法カジノに出かけて大勝利……いやこの描写、クラブは性的にも乱れてて違法薬物のやりとりしてるって世間的偏見のままなんですけど、ヒップホップな人たちはいいんでしょうか……?

443f2910ab9081e6c5fb7aa8c00ee84d2

(残り 2648文字/全文: 3939文字)


ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

tags: ご当地映画 中原翔子 前田耕陽 島津健太郎 柴田愛之助 桃宮もも 横山美雪 渋谷 虎牙光輝 震災 黒田勇樹

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ