『乙女のレシピ』 映画界諸悪の根源が悪魔合体!地方映画の最後の魔神が誕生する! (柳下毅一郎) -2,784文字-
監督 三原光尋
脚本 小森まき
撮影 吉田剛毅
音楽 遠藤浩二
庄内の食アドバイザー 奥田政行
出演 金澤美穂、城戸愛莉、秋月三佳、渡辺恵伶奈
製作:映画24区
映画人が住む仮想エリア、映画24区
映画人がこぞって集う、東京23区にはない新しい場所。
その思いから「映画24区」と命名いたしました。
有名・無名を問わず、映画に関わる映画人=映画24区の住人がここに集うことで、
コラボレートし、新しい化学反応を起こし、
数多くのクオリティーの高い作品を創り出していくことを目指しています。
“映画”をキーワードにした、総合プロデュース企業映画24区は、3つの事業を中心に活動しています。
[1] 映画をはじめとした映像制作
[2] 映画資源を使った地域プランニング
[3] ワークショップ運営による専門的な人材育成これらの事業を通して、映画界の活性化、地域活性化に貢献していきたいと考えております。
えー、これ読んで慄然としたわけですが、ここ数年ぼくが追究してきた映画界諸悪の根源というものがあるとしたら、そのすべてを体現しているのがここである。こいつがラスボスか! 次号最終回! ゴゴゴゴーッ!
どういうことか?問題はこの3つの事業という奴である。(2)の「映画資源を使った地域プランニング」こそ、つまり地方自治体に食いこんで「地方発!」みたいな誰の得になるのかよくわからない映画を量産する代理店業務。以前カエルカフェ映画を紹介したが、あの手の山師プロデューサーはまだまだごろごろしているのだ。(3)の「ワークショップ運営による人材育成」というのは、『workshop』のところでちらっと触れた、俳優や演出家を育てるというワークショップ。金を払って演技レッスンを受けるのだが、その卒業制作として映画を作る。そうすると卒業=出演作が生まれるという寸法である。これまた誰のためだかよくわからない映画を生みだしてしまうのだが、これと地方発映画が組み合わされば! そこに映画を製作することで利益を得る制作集団が組み合わされば! まさに悪魔のトライアングル。これがセディックのうちでの小槌とも言われる庄内映画村を擁する庄内キネマと悪魔合体、ついに地方映画最後の魔神が誕生する!
お、おそろしい。こいつらほっといたらいつまでもこういう映画を作りつづけるんだぞ。どうなってるんだこの世界は。誰か止める人はいないのか!? だが、ここで手をこまねいているわけにはいかない。たとえぼくは斃れようとも、せめて一矢を……
さて『乙女のレシピ』。
「世界初!炊き込みごはん映画の誕生!」だそうである。いやそりゃあ世界初かもしれないが、単に誰もやる必要を感じてないだけって場合もあるわけで。舞台は山形県鶴岡市。羽黒高校料理部のメンバーたちは「明日に迫った料理コンテストでの優勝&副賞ハワイ旅行を目指し、今年のテーマ”炊き込みご飯”のレシピに悪戦苦闘中。が、なんと!考え抜いたレシピが給食のおばちゃんチームと被っていることが発覚!校長先生からは負けたら廃部と告げられ、絶体絶命の彼女たち」
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