柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『L♥DK(エルディーケー)』 剛力ちゃんゴリ押し戦略会議に是非一度呼んでくれないか。真剣にアイデア出しますから! (柳下毅一郎) -3,593文字-

FireShot Screen Capture #238 - '映画『L♡DK』公式サイト' - love-ldk_jp

 

LDK(エルディーケー)

監督 – 川村泰祐
脚本 – 松田裕子
音楽 – 遠藤浩二
出演 剛力彩芽、山崎賢人、中尾明慶、岡本玲、桐山漣、石橋杏奈、福士誠治、藤井隆

ico_yan百万人の恋人剛力ちゃん、今度は普通の女子高生を演じます! また剛力ちゃんの映画か……こういう映画鑑賞を続けていると、どういうわけかくりかえしくりかえし出会ってしまう女優というのがいて、本来好きでもないし、彼女目当てに映画を見に行ってるわけでもないんだけど、なぜかくりかえし出会ってるうちにこれって運命?みたいな気がしてなんとなく好きになってしまうことがあって、たとえば長沢奈央という人がそうだった。あるいは菊地凛子という人もそんな感じだった。で、剛力ちゃんである。いや毎回毎回剛力ちゃんの映画見て、「これはないな~」みたいなことを思い、でも別に剛力ちゃんが悪いんじゃない!悪いのはこんなみっともない衣装を着せて変な特撮映画に出す大人だよ!と思うんだが、さてじゃあどんな役ならふさわしいのかとなると……オレ剛力ちゃんの映画見るたびにそういうことものすごく真剣に考えてるんで、世に電通とかオスカープロモーションとかの首脳部が集まって剛力ちゃんをゴリ押しする戦略会議みたいなものがあるとするなら(そういうものがあるって噂だよね)是非一度呼んでくれないものだろうか。真剣にアイデア出しますから!

というわけで今回は少女漫画原作で「恋に奥手な女子高生と、学校一のイケメンの、秘密のラブ同居」なので最初は嫌な奴だと思っていたけど……みたいなアレである。そうかそうか。剛力ちゃん頑張ったね。じゃあ帰ろうか……じゃなくてね、剛力ちゃんゴリ押し会議の人に強く申し上げたいのだが、剛力ちゃんは美人ではあるんですよ。でも演技は下手なの。あと基本的に暗いの。だからキャピキャピの女子高生みたいな等身大の役はできないの。なんせ「自然な演技」がもう致命的なまでにダメだから。笑うとか泣くとかそういうシーンは見事にまったくダメ。この人、神秘的な美少女みたいな役にしなきゃどうにもならんのじゃないかなあ。まあそういう役があるかないかはともかくとしてですね……

 

 

 

久我山柊聖(山崎賢人)は眉目秀麗にして成績優秀、スポーツ万能という学園のスーパースターだが性格は最悪。萌(岡本玲)が意を決して校庭の真ん中で大声で「好きです!」と叫んでも(まあこの行動自体どうかという気がするわけだが)

「うざい、目障り、消えろ」

と一言で切り捨てる。親友の西森葵(剛力彩芽)は義憤に駆られて階段で待ち受け、自慢の太腿を出して通せんぼ。

「ひどいじゃない!萌だって勇気を振り絞って告白したのにあんな言い方!」
「あんた誰よ。ひょっとして、あんたもオレに抱かれたいの?」
「ふ、ふざけないでよ!」

 と怒りのキックをかます剛力ちゃん。階段から蹴落とされた柊聖は大怪我を負い、葵におんぶさせて家まで帰らせる。アパートに着いた葵は仰天。

「えーなんでわたしの家知ってるの!?」

 そうそこは葵の家だった。なんと偶然にも柊聖は葵の向いの部屋に引っ越してきたのだった。てか家まで来る前に気づけよ! てか剛力ちゃん大の男を背負って横浜の山の上にあるアパートまで運び上げるとかマジ剛力。しかも料理もできる家庭的側面も!というわけで柊聖に強要されて料理を作ってあげる。火を使っていたら風呂上がりの柊聖が裸で迫ってきて思わずびっくりのあまり酒をフライパンに放り込むと火があがって天井に届きスプリンクラーが作動して部屋が水浸し、泊まるところないから今日から責任とって剛力ちゃんと同居するしかない!

 

443f2910ab9081e6c5fb7aa8c00ee84d2

(残り 2060文字/全文: 3560文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: 中尾明慶 剛力彩芽 副音声映画 山崎賢人 岡本玲 川村泰祐 木下工務店 白石美帆 石橋杏奈 藤井隆

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ