『Route 42』 -低予算を逆手に取った自然な映画作り・・・で、暗転キーガッシャーン! (柳下毅一郎) -2718文字-
『Route 42』
監督 瀬木直貴
脚本 桂いちほ、我妻正義
撮影 角田真一
音楽 長岡成貢
出演者 高岡蒼佑、菊池亜希子
国道42号線。通称「死に線」……どうなんだよこれ!と思ったらこの「地域のコミュニティと自然を描いてきた」瀬木直貴監督って三重県出身なのね。そういうわけでオール三重県で三重県の良さを県外に発信する映画です。三重県知事も協力してるし。「死に線」……
龍也(高岡蒼甫)と陽子(菊池亜紀子)はラブラブの馬鹿っぷる。鳥羽水族館でデート中、「わたしのねがいはひとつだけ。け……」と言いかけた口を手でふさぎ、ポケットの指輪を出して陽子の指にはめる。無言のまま婚約が成立して伊勢神宮へ。三重県観光案内のようなデートのあと、尾鷲のアパートに向かうため二人で車に乗って鳥羽から熊野の先まで伸びる国道42号線をウキウキドライブ。と……画面が暗転して……キー、ガシャーン!
ああもうこういうの……もうここまででこの監督の映画作法がよくよくわかってしまうのだが、カメラはほぼ手持ち。ショットはほぼミドル。クローズアップでもなくロングでもなくミドル。で、なんとなくだらだらと芝居を撮っていく。長回しでもなくカットを割っていくでもなく……ちなみにレフすら使ってないんじゃないかというこだわりの自然光撮影で、逆光だと真っ暗。これも低予算を逆手に取った自然な映画作りって奴なんですよね、うんうん……いやもうこの辺でかなりやる気が失せてるわけですが、そしたら暗転でキーガシャーンだもんな。あのさあ、“自然な芝居”っていうのは黙って突っ立って相手のセリフを聞いてることじゃないんだよ?
ま、そういうわけで婚約者を失った龍也。姉(矢田亜紀子)の結婚式の帰り、橋から飛び降りそうな勢いで外を見ている娘と出会う。顔を見てびっくり、陽子とうりふたつの友梨(菊池亜紀子二役)は「あなた、死にそうな顔してる」と龍也になついてくる。そして「連れてってよ。熊野を抜けた向こうにあるっていう“根の国”に」“根の国”では人は死者と出会えるのだという。龍也はその願いを拒めぬまま一緒に42号線を南に……
いやそれそっちに行ったらダメでしょ!
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