『ワンネス~運命引き寄せの黄金律』 きみはもりけんを知っているか? 年末特番スピリチュアル映画祭り! [前篇] (柳下毅一郎) -4,121文字-
監督・脚本 森田健
撮影 倉本和人
音楽 花崎雅芳
出演 中村祐一郎、梅村結衣、IZAM、前田耕陽
年末特番もりけん映画祭り! きみはもりけんを知っているか? ぼくはもちろん知りませんでしたが、もりけんこと森田健は『生まれ変わりの村』で知られる現代輪廻転生テーマの第一人者。著作は『スープ~生まれ変わりの物語~ 』として小西真奈美主演で映画にまでなっている。そのもりけん初監督作品がなんといっぺんに三本も封切られるという恐ろしいもりけん映画祭り!
おいおいこんなの誰が見に行くんだよ……と思いながら例によってハートロッカー精神を発揮して朝一で見に行くとシネマート六本木にはすでに待っている客が! 変なアイドル映画なんかよりよっぽど人気じゃないか! 恐ろしいことに映画館に慣れてないらしいもりけんファンは開場前だというのにどんどん勝手に劇場に入っていく。しかも終了後のもりけんの舞台挨拶によれば今日は空いていたほうで、他の日はほぼ満席だという。驚くべきはもりけんの動員力、世の中にこんなに生まれ変わりを信じてる善男善女がいるとは……
さて、映画はパトカーに「銀行で殺人事件発生」の急報が入るところからはじまる。現場に急行した警官、中から飛び出してきた行員の女性とぶつかって、その銃が暴発して女性を殺してしまう(もうこの冒頭の描写だけで百箇所くらい突っ込みたいのだが、そんなことをやってたら百枚書いても終わらないので以下突っ込みどころは全部飛ばします)。「キスして……」と言って息絶える女性。
高校生の智也(中村祐一郎)は博物館で新撰組の展示のボランティア中。見学に来た小学生が言う。
「ねえ~前世では新撰組だったんでしょ? なんで土方副長は洋装なのか教えて」
「さあ、知らないなあ。実は土方さんが洋装はじめる前にぼくはもう死んでたんだ。しかも女性に刺されて」
「だっさ~ その人どうしたの?」
「生まれ変わって、拙者と同級生でござる」
なんという会話ですか。てか智也くん前世記憶高校生としてすでに有名らしいんだけど、そんな奴に歴史教育のボランティアとかさせてたらあかんやろ!
ちなみに前世のいきさつとはこうである。新撰組の一隊士である前田耕陽、彼が実は智也の前世。同じく隊士のIZAMと飲みに行った帰り。
「おまえ、あの飲み屋の女好きなんだろ~?」
「いやいや~」
「え~誰か付き合ってる女でもいるの?」
「いないいない~」
い、いや新撰組たって大学生くらいの若者だからそういう会話もあるよね!ね!そこに突然の人影、
「近藤勇、覚悟!」
と飛び出してきた女に前田耕陽はドスで刺されてしまう。IZAMが女を切るが前田耕陽はすでに虫の息。
「おれは近藤勇ではない……」
女、いまわのきわで
「え? あたしとしたことが……すいません、人違いでした」
「マジか! 人違いとか……これも運命……」
「あんた、いい男だね」
「おまえもいい女だな」
と死に際にものすごく簡単に一目惚れしあった二人、あの世での再会を誓って、生まれ変わって同級生になったというわけである。まあ、もりけん先生がそう言うんだから仕方ない!
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