『Red Cow』 何がどうなってるのか誰にもわからない展開が延々と・・・ さすがGODだぜ!(柳下毅一郎) -2,900文字-
『Red Cow』
監督 Yuki God Otsuka
出演 中山絵梨奈、松田優
公式サイトによれば
監督曰く「何故このような映画になったのか自分でも分からないが、面白い作品にしようとしたらこうなってしまった」と言わしめた怪作
って監督にすらわからないのかYO! さすがGODだぜ! そんなわけでオレも何ひとつわからなかったが、監督にすらわからないんだから神ならぬ身の理解が及ばなかったとしてもどうか許していただきたい。この監督、プロフィールによれば
「ブラックレイン(89)」等数々の海外作品・合作作品の制作に携わり、映画「Peach(98)」がロサンゼルス、モスクワ、ソチ等の国際映画祭で絶賛され、ハワイ国際映画祭で招待上映されるなどの評価を受ける。「妹 -SISTER-(05)」にて美意識や精神性をスタイリッシュな映像で描き話題となる。「首領の一族(06)」では、再びタッグを組んだ松方弘樹を主演に、社会の裏側に生きる侠たちの輝きを、スタイリッシュな映像美で見せつけた。ギャル・カルチャーを題材にした作品「Girl’s Life(09)」ヒューマンファンタジードラマ「スープ~生まれ変わりの物語~(12)」、日仏合作映画「FLARE~フレア~(14)」が公開される。次回作は2015年公開の映画「罪の余白」である。
『スープ~生まれ変わりの物語~』ってもりけん映画じゃねえかよ! まさかこんなところでもりけんとつながるとは。やはりもりけんは正しかったのか? 世界はぜんぶ、つながっている~!
さて、物語は上海にはじまる。この映画、なぜか舞台は上海と会津。なぜなのか? それは誰にもわからない。大富豪の娘凜凛(中山絵梨奈)は金もうけにしか興味がない父親と、その金を使うだけの自分と五歳しか年の違わない後妻にもうんざりして、言い争いをしている。この場面、父親と後妻は広東語で喋って字幕がつくのに、凛凜は日本語で普通に会話している。どうやって意思疎通しているんだ……? たぶん凜凜が広東語で喋っているつもりなんだろうが(後に日本へ来た凜凜が「日本語上手ですね」と言われて「わたし、四ヶ国語喋れるから」と返す)、こんな場面はじめて見た! てかヒロインが広東語喋れないなら、なんでわざわざ中国人の設定にしたのか(上海ロケはほぼホテルの一室のみ)。ともかく婚約者に「ぼくがいちばん大きな買い物をするのを見せてあげる」(爆買いか!)と言われて東京へ一緒に来た凜凜。ホテルで婚約者から指輪を差し出され
「なに、“いちばん大きな買い物”ってわたしのこと!?」
怒りのあまり婚約者にパンチ、玉を蹴り潰してKO。ホテルの前に止まっていた車に
「乗せてよ」
「いやダメですよ。この車ハイヤーなんですよ。これから会津まで帰るんですから」
伝家の宝刀ブラックカードを突き出すと運転手は唯々諾々としたがう。車内から「もう上海には帰らないから!」と父親に電話して、凜凜が着いたのは会津の温泉宿くつろぎの宿千代滝というわけで舞台は会津へ。いやあ必然性あるなあ。
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