柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『天使にアイム・ファイン』 「病は気から、イジメは本人に責任!」大川隆法総帥作詞作曲の主題歌を天使様が歌えば大団円!(柳下毅一郎)

 

天使にアイム・ファイン

監督・脚本 園田映人
原作・製作総指揮 大川隆法
音楽 大門一也
出演 雲母、芦川よしみ、金子昇、清水一希、合香美希、大河内奈々子、なべおさみ、TOKMA

 

face「アイム・ファイン!」になるための7つのヒント (OR books) 大川隆法総帥製作総指揮、尖閣ロックの園田映人監督、TOKMAも河ちゃん(元ブルーハーツ)の音楽も使われているというハッピーサイエンス総動員体制で作られた本作。まず思うことは……ともかくつまらない! 天使、いろんな人を救うのもいいけど、まず最初に大川総帥と園田監督と主演の雲母(天使)に物語の語り方と演技の仕方を教えてやれよ! この天使、「地上の人間を見守る」のはいいが、やることと言えば「大丈夫。頑張って!」って応援するだけ! 別に神に奇跡を仲介してくれたり叡智を授けてくれたりするわけじゃないのだ。天使の支援を受けてもせいぜい元気が出るくらい。だが幸福の科学的には実はそれでよいのである。心が正しくなれば身体も正しくなる。すべての不幸は本人の心に原因があり、それを正せばすべてがよくなるのだ! というわけで病は気から、イジメの原因はイジメられっこ本人にあるというとんでもない主張を大真面目に語るハッピーサイエンスなのである。しょせん大川総帥の言うこととはいえ、これはさすがに笑えないね……

 

 

主要登場人物は五人。それぞれの不幸が平行して進んでいく構成である。順に学校でイジメられている少女、福島を出て行きたいと思っている高校生、衆議院議員選挙に二回連続で落選した憂国政治家、胃がんで余命四ヶ月と宣告された大女優、ダンサー志願の娘となる。一応ダンサー娘が主人公で、他の四人は「彼女の人生にかかわってくる人」であるらしいのだが、映画の中ではほぼ無関係(イジメを受ける少女がダンサーの後輩でバレエを学んでおり、大女優が最後のオーディションの審査員になるくらい)。まさかこれ大河ドラマにするつもりなのか!? 棒読みの台詞(特に天使役の雲母が酷い)と起伏のないストーリー、噴飯ものの主張には本当にうんざりなんで、頼むからこれ一本で終わりにしてほしい。

まずはイジメられっこ少女風香。できのいい兄の陰に隠れて、「自分なんて、誰からも愛されていない」と思いこんでいる。同級生からは「風香のイジメ方」なんてノートを作られ、同級生の男の子がはき出したミートボールを食べさせられるなど、かなり強烈なイジメを受けている。誰にも言えないのでいたのだが、「人を信じて!」とはげます天使のメッセージを受けて母親にイジメを告白する。母親(大河内奈々子)の方は「イジメ解決のフローチャート」をネットで見ながら、頼りにならない感じで担任に事実を告げる。だが事なかれ主義の担任は

「え~本当ですか~このあとPTAあるんですけど~」

 とまったくやる気なし。だがさすがに「イジメ方」ノートを見せられると血相を変えて校長室に駆けこむ。そこにはちょうどイジメの張本人の母親が来ており、子供も呼び出して対決となる。だがもちろんイジメ側は

「なんの証拠があるんですか!」

 としらをきって平然。天使(雲母)、どうする?

福島の高校生。父親は売れない八百屋をやっているが、風評被害のせいで売れ行きが芳しくない。「こんなところ、早く出て行きたい……」という彼は福島を出て行きたくて、新聞配達のアルバイトをしている。だが、父親からは「大学には行かせん! そんな金はない!」と言われてしまう。「だから新聞配達してるんじゃねーか!」「そんならその金は家に入れろ!」

とまったく理解できない謎論理で進学を否定され、家を飛び出す。さて天使は……?

衆議院選挙千葉二区、無所属で立候補した栗原は二回連続で落選。落選の弁も

「民自党の組織力にはかないませんでした。『自分の国は自分で守る』というスローガンを掲げたら、マスコミからウヨとレッテル貼られました」

 

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