柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『疾風ロンド』 「さあゲームのはじまりです」 ・・・ならば、せめてゲームくらいやってくれ!本当に原作は東野圭吾のベストセラー小説なのか?(柳下毅一郎)

公式サイトより

皆殺し映画通信LIVE 12/30(金)開催!

 

疾風ロンド

監督 吉田照幸
原作 東野圭吾
脚本 ハセベバクシンオー、吉田照幸
撮影 佐光朗
音楽 三澤康広
主題歌 B’z
出演 阿部寛、大倉忠義、大島優子、ムロツヨシ、堀内敬子、戸次重幸、野間口徹、麻生祐未、生瀬勝久、中村靖日、田中要次、でんでん、柄本明

 

face ぼくは常日頃から悪役が「さあゲームのはじまりです」と言う映画を憎んでいて、そういうものはすべて滅んでしまえと願っている。この映画では、最初に喋られるセリフが「さあゲームのはじまりです」だ(予告編にも使われている)。だからてっきりまたどうでもいいゲームがはじまるのかと思っていた。ところがなんと驚いたことに、これいっさいゲームらしいゲームはプレイされないのである! まさかゲームがないとは思わなかった! せめてゲームくらいやってくれよ!とこっちが頼みたくなる始末。原作は東野圭吾のベストセラー小説ということなのだが、本当にこんなもんがベストセラーなのか?

 

 

とある生化学研究所。画期的な発明により一切のワクチンが効かない無敵の強毒性炭疽菌K-55を開発した葛原(戸次重之)は、その業績が認められなかったことから炭疽菌を盗み出して所長を脅迫する。身代金三億をよこさなければ炭疽菌をばらまく。パニックになる所長! 演じるは柄本明! はっきり言いますが、この映画で起きるトラブルの九割九分までは柄本明のせい! 柄本明が所長じゃなかったら映画は三分で終わるよ! あ、そう考えれば最大の貢献者なのかな? ともかく柄本明が知らん知らんわしに責任はない闇に葬れ!ってダダをこねる(子供みたいな駄々なんだが、そこは安定の柄本クオリティだ)もんで、管理職の栗林(阿部寛)が炭疽菌回収の責任を負わされる羽目になる。そこへ警察から電話が。すわ!と思ったらなんと葛原が交通事故で死亡してしまったという。どこかに炭疽菌を隠したまま! 栗林は雲をつかむような捜索を押しつけられる。

いや、葛原のゲームがはじまる前に終わってしまったことは別にいいんですよ。そういうギャグなんだから。問題はだね、そのあともちっともゲームでもなんでもなくて、誰一人頭を使わなくとも事件が解決してしまうことである。ゲームというよりはすごろくで、さいころを振った目のとおりに進んでいくだけで映画が終わる。

まずは葛原から送られてきた写真を見る……となにやらリフトがあるからスキー場っぽい。炭疽菌はテディベアをはりつけにした木の根元に埋めてあるらしい。栗林が写真をスノボーに凝ってる息子に見せると、友人のあいだを回覧されてたちまち野沢高原スキー場だと判明する。ついでに葛原の遺品から炭疽菌のありかに反応するという位置検知機もうばいとり、それを手にして息子と一緒に野沢高原に向かう。もちろん、ここまで阿部ちゃん何もやってません。

 

 

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