柳下毅一郎の皆殺し映画通信

【無料記事】 ▽[今週の殺し屋日記] 柳下毅一郎の3/25~4/7 『藁の楯』・『ビル・カニンガム&ニューヨーク』・『千年の愉楽』・『グランド・マスター』・『救済』

3/26(火)

長らくかかえていたゲラをT社の編集に戻す。ひさびさの開放感にひたる。

夜、青山公園で旧ケイブルホーグ花見。例年寒さに震えるケイブルホーグ花見なのだが、今年は風が吹かないのでぬくぬく。


 

3/27(水)

ワーナー試写室で『藁の楯』。雑な話を勢いで見せてしまうのこそが三池崇史の得意技なんだと思っていたんだが、あまり力業を感じないまま終わってしまった。

『二・二六事件の幻影』(筑摩書房)、『それでも彼女は生きていく』(双葉社)など購入


 

3/28(木)

調べ物があって東大図書館に来てみたが……

 


 

3/30(土)

飛鳥山公園で花見。はじめて来た飛鳥山公園だけど、なんでも徳川吉宗がみずから手がけた江戸最初の花見スポットなんだそうで、なるほど桜の密度が濃くていい感じだった。園内には謎の野外ステージがあって日本舞踊の一団が踊り狂っていたのだが、なんでも地下アイドルなんかも出ているその筋では有名なところらしい。知らなかった……! なお当然のことながら花見の平均年齢はかなり高い感じ。


 

3/31(日)

新宿ピカデリーで乙武くん主演『だいじょうぶ3組』。

その後ぷらぷら歌舞伎町を抜けて大久保方面へ。大久保で反韓デモがあるというので、まずは見物に。すさまじい怒号と機動隊による厳戒態勢。これでも本命の「在特会」は大阪の方でデモやってたとかで人数は少なめだったらしい。デモ隊と、罵声を浴びせる反デモの人たち、機動隊の警備という物々しさにはちょっと考えさせられてしまった。警備の不手際で結構危険な場面もあったんで、少なくともあのせまい大久保通りはデモ不許可にしないとまずいと思うのですよ。乙武くんも「少数者だからって、馬鹿にしていいわけじゃない」って言ってたよ!

嫌なものを見せられて気が滅入ったのでさらに新宿中央公園まで歩き、男の墓場花見に参加する。さらに少数者の集まりだけど、元気だよ!


 

4/1 (月)

映画の日なので池袋シネマロサで『コドモ警察』。吉瀬美智子出てる!

夜、平井の豊田屋でプリン体祭り。鍋シーズンも終わりなのでラストプリン体! 痛風の予感に震えつつ箸が止まらない……!


4/2(火)

試写で『ビル・カニンガム&ニューヨーク』。見終わって、思わず「ニューヨークっていいなあ」と思ってしまった。普段ならこういう反応は唾棄しており、というのはもちろん今ここ自分のいる場所がいちばん素晴らしいのであって、そうでないならそれは自分がつまらないからだと思っているからなのだが、それでもそう思ってしまうくらいニューヨークの風景が魅力的だった。ニューヨークの最良の部分がとらえられていると思う。5/18公開。

夜、四谷のスナック・アーバンへ。


4/4(木)

テアトル新宿で『千年の愉楽』。なんかいまいいちピンボケの映画で、これならFAプロでヘンリー塚本が撮ったほうがいいんじゃないかと思った。ラストはおかしかったけど。


4/5(金)

ロジャー・エバート逝去の報。わがロール・モデルの一人である。ラス・メイヤーに脚本を提供して、オプラとつきあって、オバマに弔辞をおくられるという人生。この人、黒人巨乳好きだったわけで、絶対パム・グリアー好きだったろうなあ……と思ってパムのtwitterを見に行ったけど、意外とそっけなかった。

 

夜、TOHO六シネマズ本木ヒルズで『グランド・マスター』試写。ウォン・カーウァイの新作だが、これほど見事なウォン・カーウァイ節は見たことないというくらいウォン・カーウァイ。なんつーか、美男美女がかっこつけたポーズで静止して意味ありげな科白を喋ってるだけの映画。カンフー映画なのに。80年代から何ひとつかわってないところがある意味潔い。プレノン・アッシュはもうないのに。


 

4/6(土)

台風なれど花見。友達のお店で飲む。昼からしこたま飲んでばったり。


 

4/7(日)

台風一過で晴天。

K’s cinemaへMoosic Lab Dプロを見にいく。内藤瑛亮くんの『救済』を見に行ったのだが、他の作品を見て考えこんでしまい、直井くんをつかまえてプロデューサーとしての意図を糾す。困ったものである(オレが)。内藤くんの映画は普通に良かった。『先生を流産させる会』の女の子があの素晴らしい面構えのまま成長していて大感動。なんつーか、子役の成長を見守るのってこんな感じなのかな…

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