「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「長澤? フラれてなんかいないよ」 -誰もハッピーにならない天野純と長澤和輝の獲得記事 (藤井雅彦) -1,944文字-

「アマジュンは去年から継続的に追いかけている選手」

14日、某スポーツ新聞に『横浜、“大学No.1レフティー”順大MF天野獲りへ!』の見出しが躍った。天野純(22)といえば、言わずと知れたマリノスユース出身の選手で、2009年には1学年下の小野裕二(現スタンダール・リエージュ/ベルギー)らとともに高円宮杯で全国制覇を成し遂げた選手である。しかしトップ昇格は見送られ、順天堂大学への進学を選ぶ。すると1年次からコンスタントに試合に出場し、4年となった今年にはユニバーシアード代表にも選出された。“大学No.1”かどうかは別として、左足の精度の高さには定評がある。

マリノスには昨シーズンも練習参加し、浦和レッズとの練習試合に出場した。今年に入ってからは先週、練習参加したことで獲得に前進したという風向きが強まっている。たしかにトップチームの現状を見ても2列目の層の薄さは明らかで、天野が稀少価値の高い左利きであることも魅力だ。他のJ1クラブに練習参加したという事実もあるようだが、もともとは育成組織出身の選手である。憧れのトリコロールのユニフォームに袖を通すチャンスがあるとすれば、加入に前向きになっても不思議ではない。これについては下條佳明チーム統括本部長も「アマジュンは去年から継続的に追いかけている選手」と明かしている。親しみを込めて“アマジュン”と発言するあたりに興味を示しているという事実がうかがえる。

現場サイドの評価も上々だ。樋口靖洋監督は「リズムを作れる選手で、ゲームを作れる選手」と評価している。左利きらしく独特のリズムでボールを動かし、リスタートでは精度の高いボールを蹴る。システムや周囲との関係性にもよるが、プレーが最も似ているのはおそらく中村俊輔ではないか。即スタメンとはいかずともに、教えようと思っても教えられないリズムを所持しているのはセールスポイントとして数えられる。マリノスが獲得に動くのも頷ける選手である。

さて、そこで懸案事項が浮かび上がる。冒頭の某スポーツ紙の原稿には天野獲得以外の話題にも触れていた。それが『一方、今季強化指定にもなった専大4年のMF長澤和輝(21)の獲得は厳しい状況という』という最後の一文である。昨年から獲得の意思を表明していた専修大学の長澤の進捗状況が焦点で、読み方によっては“長澤獲得が難しいと判断したクラブが天野に切り替えた”ととれなくもない。ポジションが同じMFで攻撃に特徴があることもそれを助長している。

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