「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

久しぶりに前節同様の11人で試合に臨む [J29節大宮戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,492文字-

 

4-3-2-1_兵藤ボランチ 久しぶりに前節同様の11人で試合に臨む。幸いに新たなけが人はおらず、試合に勝っているためメンバーをあえて動かす必要もない。むしろけが人の復帰によってメンバー変更がありそうなものだが、それも結果が出ているためリハビリを焦る必要がない。事実、小椋祥平や栗原勇蔵はあくまでマイペースのリハビリを行い、今節もベンチには入らないだろう。仮に清水エスパルス戦で敗れていれば、彼らを焦って起用しなければいけない事態も十分に考えられた。

これだから結果を無視して先には進めないのだ。どんなに好内容でも、負ければ何かを変えようと考えるのが監督である。特に樋口靖洋監督は、我慢と忍耐が得意ではない人だ。自身が選んだ11人なのに、負ければそれを平気で否定する。次の試合にはまったく異なる11人がメンバー表に並ぶ。あらかじめ固定されている選手を除き、チャンスは一度きり。そこで結果が出ない選手は、次の試合はベンチ、あるいはベンチ外になる。

前節、清水エスパルス戦を振り返った樋口監督は「久しぶりにゲームをコントロールできた。これが自分たちのサッカーとあらためて思い出すことができた」と笑顔とともに手ごたえを口にしている。1-0という最少得点差の勝利にもかかわらず、これだけ饒舌なのは、やはり試合全体のパフォーマンスが良かったからだろう。たしかに攻守両面で清水を圧倒し、完勝を収めた。

 

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大宮4-4-2 しかし、相手が残留争いの渦中でもがき苦しんでいるチームだったことを忘れてはならない。「相手が弱すぎた」。あえて匿名にするが、先発出場したある選手は第一声でそう切り捨てた。マリノスはけが人が多く、チーム状態も決して良くないが、あの清水に比べれば明らかに実力上位だ。経験値の高い選手も多い。現在順位は10位で、シーズン折り返し以降は常にこの順位あたりをウロウロしているとはいえ、シーズンここまでを戦ってきて明らかに力が足りないと感じるチームはたくさんあった。マリノスは点を取れないが、かといって決して弱いチームではない。

明日対戦する大宮アルディージャは監督交代後、5勝1敗と息を吹き返し、降格圏を脱出した。樋口監督はじめ選手たちはその戦いぶりに警戒心を強めているが、はたしてどうか。簡単に勝てるとは思わないが、上位にいるチームより強いとも考えにくい。勝つ可能性と負ける可能性、あるいは引き分けに終わる可能性はいずれも同じくらいあるだろう。清水に勝ったからといってすべてが好転すると思ったら非常に危険だ。

どんな結果になっても驚けない試合である。

 

【この試合のキーマン】
MF 20 佐藤 優平

 あとはゴールだけである。チャンスには十分絡めているのだから、フィニッシュで攻撃を完結させたい。それもシュートではなく、ゴールが必要だ。
得意のランニングプレーはチームに欠かすことのできない要素になりつつある。しかし、周囲を納得させるには結果を出すしかない。「惜しい」で終わる選手は多い。そうならないために。

 

 

 

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