「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

天野純をトップ下に置いた4-2-3-1か [2nd7節柏戦プレビュー]

3連勝のあとの3連続引き分けで足踏み状態が続いている。明日対戦する柏レイソルは2ndステージに入ってから4勝1分1敗とまずまずの戦績で、順位はマリノスよりも上の4位だ。特に現在3連勝中と上り調子で、ヴァンフォーレ甲府から加入(復帰?)したクリスティアーノを筆頭とするアタッカー陣は多士済々。まずは相手攻撃陣を封じることから始めるべき試合となる。

 柏は攻撃陣にタレントを揃えている反面、守備面には少なからず不安を抱えている。リオ五輪代表にGK中村航輔が選出され、バックアップメンバーに選ばれたCB中谷進之介もチームを離れた。守備の中心を担うセンターラインの選手が同時に不在になるのは痛手だろう。マリノスはその隙を突いて得点を狙いたいところだ。

その陣容だが、今節は天野純をトップ下に置いた[4-2-3-1]で臨む可能性がある。前節・名古屋グランパス戦はカイケと富樫敬真の2トップで臨み、前々節・ジュビロ磐田戦は中村俊輔をトップ下に置いた[4-2-3-1]だった。これだけを見ると行ったり来たりを繰り返しているように見えるが、チーム状況は刻一刻と変化し、相手も違う。変更には意図がある。

「チームとしてはビルドアップのクオリティを上げたい」(エリク・モンバエルツ監督)。

 中村がいれば、自陣からのボール回しに安定感が生まれ、ポゼッションの率は高まる。一方、2トップにしたときの面々は縦方向への速さを強調できる。これは単純に中村の有無による違いで、中村が2トップの一角やサイドハーフに入っても、やはり攻撃は遅攻に偏るだろう。

指揮官としては、ボールをポゼッションしながら、縦に速さを出せる場合は出したいはず。つまりケース・バイ・ケースである。どちらか一方だけで良い話ではなく、決めなければいけないわけでもない。起用する選手やフォーメーションによって、チームとしての性質が変わる。

では今回どうなるのか。

 

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1トップにカイケ、トップ下に天野を置く編成は、カイケと中村のペアに近い。天野の評価についてモンバエルツ監督は「(天野)純にはまず運動量がある。そして相手のラインの間でプレーできて、パスのクオリティも上がってきているし、フィニッシュでも力を発揮できる。10番タイプの選手といえる」と話す。もっとも2ndステージに入ってからは中村も高い位置で我慢し、相手の裏を狙うランニングで攻撃を活性化していた。天野にも同様のプレーが求められる。

フィニッシュ局面においては、カイケや天野に期待する以上に、齋藤学とマルティノスが決定力を身につけなければいけない。チャンスは十分に作れている。ひと昔前のマリノスでは考えられないほどチャンスが多く、アグレッシブさがも際立っている。あとはフィニッシュをゴールで完結するだけだ。ここは監督の采配やマネジメントではなく、いる選手が決めるしかない。絶対的な得点力を持った選手がいて、その選手がベンチに控えているなら采配の問題だが、現状は違う。

ビルドアップの質を高め、縦方向へのスピードを維持しつつ、チャンスを決め切る。文字にすると簡単だが、これを実際にやるのが難しい。それがサッカーである。

 

 

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