「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

センターラインで主役を任せるべきは背番号11 [ルヴァンカップ準々決勝第1戦 大宮戦プレビュー]

 

惜しくも引き分けに終わった鹿島アントラーズ戦から中3日で、ルヴァンカップ準々決勝・大宮アルディージャ戦に臨む。第1戦は大宮ホームということで、マリノスにとってはアウェイゲームになる。第1戦から第2戦までの試合間隔も中3日だから、鹿島戦から続けての連戦だ。

 ルヴァンカップはタイトルに手の届きそうな大会である。準々決勝の2試合、準決勝の2試合、そしてワンマッチで行われる決勝戦の全5試合を、5連勝すれば無条件で優勝だ。リーグ戦の残り7試合を全勝するよりも現実的だろう。さらに言えば準々決勝と準決勝は1勝1分でも勝ち上がれる。決勝戦は引き分けでもPKで勝てば優勝だ。つまり2勝3分程度でも優勝の可能性がある(もっと言えば5連続ドローでもアウェイゴールを駆使すれば可能性がある)。引き分けの価値が高いという点が、リーグ戦と大きく異なるルールだ。

さて、まずは明日の大宮戦。エリク・モンバエルツ監督は鹿島戦から大きくメンバーを落とすことはしない。38歳の中澤佑二も先発出場が予想され「ホームとかアウェイとか関係なく勝利を目指す」と元気に話した。中村俊輔や中町公祐といったけが人を除くとU-19日本代表に選出されてフランス・UAE遠征に参加した遠藤渓太のみ不在となる。

 

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この一戦に臨むメンバーは予想フォーメーションのとおり。試合前日の実戦形式の練習では、齋藤学が伊藤翔の近くに陣取り、右にマルティノス、左には前田直輝が入る布陣となった。これまで左サイドに固定されていた齋藤が、スタートポジションを中央に変えてどのようなプレーを見せるか。

以前も述べた記憶があるのだが、筆者は齋藤を左サイドに固定していたことに問題があったと考える。以前よりも確実にプレーの幅を広げたのだから、よりゴールに近い中央のエリアで勝負させるべきなのだ。

具体的に言えば、指揮官が語っているように「ラインの間で受けるプレーが良くなっている。それを生かす意味もある」。相手の中盤と最終ラインの間、そして人と人の間の狭いスペースでもボールを受けて前を向くことができる。それこそが齋藤の持っている最大の武器だろう。タッチライン際に固定しておくのは実にもったいなかった。中村俊輔が負傷して試合に出られない時点で、センターラインに置いて主役を任せるべきは背番号11だったのである。

 ただ、齋藤一人で攻撃を完結できるわけではない。彼を生かすためにも伊藤翔は最前線で相手CBと駆け引きを続けなければならず、左右のマルティノスと前田もインサイドに入る動きが必要だ。マルティノスに関しては単騎突破できるウイングとしてサイドに固定してもいいが、前田には中央に入る柔軟な動きが求められる。それと同時に3列目から攻撃に加わる兵藤慎剛のサポートもポイントになるだろう。

これらを守備のバランスを崩さずに行わなければいけない。中澤は「アウェイゴールなどを考えるのは試合が終わってから。まず第1戦が終わってから第2戦のことを考えたい」と陽気に語った。一方で「大宮は大崩れしないチーム。だからウチも崩れないことが大事。我慢比べのゲームになる」とも話した。無理に攻めた結果、失点を重ねれば第2戦が苦しくなる。

目指すべきは勝利だが、できれば無失点勝利が理想。さまざまな思惑の中で戦う“前半90分”である。

 

 

 

 

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