「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

14日間で5試合の最終戦。この試合がもっともきついはず [2nd11節 仙台戦プレビュー]

 

 再び中2日で、今度はリーグ戦のベガルタ仙台を迎える。同じ中2日でも、条件的には今回のほうが厳しい。水曜日の天皇杯2回戦の相手は格下の福島ユナイテッドFC(J3)だった。今度は同じJ1の仙台で、しかも水曜日に120分ゲームを戦って疲労困ぱいの状態で、しかもアウェイゲームである。ルヴァンカップ準々決勝のホーム&アウェイで全力を出しきったあとの天皇杯も大変だったが、さまざまな条件を踏まえて14日間で5試合の最終戦なのだから、明日の仙台戦が最もきついはずだ。

天皇杯2回戦前同様に、インターバルの2日間は実質、何もできなかった。試合翌日はリカバリーに努め、試合前日はボール回しで汗を流しただけで、セットプレーの確認すら行っていない。ただ、幸いなことにベガルタ仙台とは1stステージだけでなくナビスコカップのグループステージでも対戦している。メンバーの入れ替わりはあるだろうが、チームの性質は大きく変わらない。セットプレーについては試合前にミーティングを行い、ぶっつけ本番でもさほど問題にはならない。

最近のマリノスは、齋藤学やマルティノスを軸とするスピーディーなオフェンスが最大の武器となっている。カウンターの精度が上がり、福島戦の2点目もまったく無駄のない素晴らしいカウンターだった。以前は単純にスピードを持った選手が見当たらず、簡単なカウンターすらフィニッシュで完結できなかった。しかし、いまは違う。手堅い守備と精度が高まりつつあるカウンターで相手を仕留める。

 

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 そして、最大の武器は“ぶっつけ本番”をやってのける選手のクオリティだろう。劣勢でもなんとかできてしまう能力は、サッカーに限らずどの世界でも必要だ。中澤佑二や栗原勇蔵、小林祐三といった面々は苦しい場面でも耐えしのぐことができる。中町公祐や兵藤慎剛は戦況を見極め、適切なプレーを選ぶことができる。そして成長一途の齋藤学は試合展開とチーム状況によって動ける。2013年に優勝争いを演じた面々は、やはり心強い。今回もまた中村俊輔は不在だが、チームには経験と実力を兼ね備えた選手がたくさんいる。

体力的なディスアドバンテージがあるとしたら、それは間違いなくマリノスだ。中澤が「自分は疲れていない、余裕です。疲れていると言ってしまったら、試合前から負けたときの言い訳をしていることになる。だから疲れていない」と話したようにメンタルを強くキープすることは重要でも、時間経過とともに足が止まるかもしれない。それは致し方ないことだ。そのときこそマリノスの真骨頂である“即興”で戦えばいい。

スペクタクルなゲームにはならない。セットプレーやミスが勝敗を分ける渋いゲームになる可能性が高い。でも、それはマリノスの土俵だろう。しぶとく勝ち点3を持ち帰ってきたい。

 

 

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