「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

天皇杯を前にクラブは中澤佑二に対し、条件を見直し再提示 ・・・「納得のいく説明があった上での提示だった」(中澤)[新潟戦前プレビュー]

 

この時期、ピッチ外の話題が先行してしまうのは仕方ないだろう。誰よりも選手の心情を理解しているのは「これはどのチームも同じことだが、移籍や契約更新などがあって集中を欠きやすく、難しい時期だ」と話すエリク・モンバエルツ監督かもしれない。もっとも、自身の去就も不透明となっているが、練習グラウンド付近で接している限りそんな素振りは微塵も見せない。

 契約満了による退団が決まっている小林祐三は、水曜日に右ひざ痛を訴えて別メニュー調整となった。それでも試合前日の金曜日にフルメニューをこなし、試合出場に向けて準備を整えている。非常に難しい精神状態だろうが、ピッチに立てばチームのために全力でプレーする。それが小林という男だろう。

天皇杯という大会においては、明日の4回戦・アルビレックス新潟戦が大きな分岐点となる。勝った場合、準々決勝開催日は1ヵ月以上先の12月24日だ。マリノスの場合、新潟戦を終えて1週間程度のオフを挟むことが決まっており、その後に練習を再開する。日本サッカーのカレンダーの都合とはいえ、通常のトレーニングを続けていても間延びしてしまう。

負けた場合も、チームオフを挟んでトレーニングを行う予定だが、12月はほとんどがオフになるだろう。つまりシーズンオフである。次に選手たちが集合するのはおそらく1月の始動日。そのときは、現在いない顔も含まれている。また、小林のほかにもチームを去っている選手がいるかもしれない。いずれにせよ、まったく別のチームだ。

 

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 明日は2016年のマリノスとして戦う最後の公式戦になる可能性がある。勝てば小林とともに準々決勝に進出し、その頃にはけがで離脱している中村俊輔、栗原勇蔵、中町公祐、下平匠も戦列に戻ってくるはず。日本代表に招集されている齋藤学にとっても、このままシーズンが終わるのは不本意だろう。オフに夢の海外移籍を叶えるかもしれない背番号11に、タイトル獲得への道を用意しなければならない。

また、クラブは中澤佑二に対し、条件面を見直したうえで再提示を行ったことが、利重孝夫チーム統括本部長から明らかにされた。本人に対して書面が手渡されたのは昨日10日のようで、つまり第1回の交渉を行った9日の翌日ということになる。迅速な対応というべきか、そもそもの提示に自信がないととらえるか…。

提示を受けた中澤は「減俸は減俸。でも34試合フルタイム出場して1年間頑張ったことに対する適正な評価。納得のいく説明があった上での提示だった」と話した。今後は今回の提示が叩き台となって条件面での交渉が行われていく。『人間万事塞翁が馬』で予断は許さないが、ひとまずは前向きなやり取りに展開していきそうな雰囲気である。

 

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