「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ショッキングな発表があったとしても、それぞれに異なる背景がある。そのすべてを見届けなければならない [選手の去就報道について]

 

天皇杯準決勝・鹿島アントラーズ戦で敗れたことで、マリノスの2016シーズンが終わった。この試合がマリノスでのラストゲームになる選手は契約満了でサガン鳥栖に移籍する小林祐三以外にも、多かれ少なかれいるだろう。とはいえ、すでにカレンダーは12月の終わりに差しかかっており、移籍関連のリリースについては年始の発表となる見込みだ。

サポーターは悶々とした状態で大晦日と元日を過ごさなければいけないわけだが、この理由は天皇杯の日程によるところが大きい。リーグ戦終了の翌週末に天皇杯4回戦が開催され、次ラウンドの準々決勝まで6週間のインターバルがあった。国際Aマッチデーやチャンピオンシップ、あるいは日本開催のクラブワールドカップといった事情のためである。

リーグ戦終了がシーズンの終わりであれば、諸々の発表がここまで遅くなることはないだろう。選手の移籍には基本的に移籍元と移籍先が存在し、実際にその両方が天皇杯で敗れている場合のリリースは早い。関与するどちらかのチーム、あるいは両チームが勝ち上がっている場合、発表が与えることによる精神面への配慮と周囲への影響を考慮してリリースを控えているというわけだ。

今日、スポーツ新聞だけでなく一般紙でもマリノスに籍を置く選手たちの移籍関連ニュースが一斉に報道された。最も大きな話題は中村俊輔だろう。ネームバリューと意味合いを踏まえたとき、これは仕方のない問題である。ほかでは榎本哲也や兵藤慎剛、中町公祐、齋藤学らといった面々が挙がり、媒体によってはファビオや和田昌士の名前もあった。

ただ、ここで強調したいのは選手個々によって立ち位置や事情が大きく異なるということだ。まず、それぞれクラブとの契約内容はまったく違う。今季限りで契約が切れる選手と複数年契約が残っている選手を同列にしてはいけない。そして、選手は人間なのだから人格も将来設計図も同じではない。身の振り方を決める際に何を重要視するか違って当然だ。

38歳の中村は現役生活の最終盤をどのように過ごすかを考えている。榎本はプライマリーからマリノス一筋で、他チームから具体的なオファーを受けたのは今回が初めてのこと。兵藤はここ2年、満足できる出場機会を得ておらず、まだまだ一線級で戦いたいという思いがある。中町はかつての恩師との関係性も見え隠れし、自身が最も輝ける場を選ぶはず。齋藤が重きを置いているのは「ワールドカップという目標もある。そのために成長できるのはどこか」という観点だ。だからこそ海外移籍も視野に入れている。

 

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