「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

練習試合前日から1トップに入ったのは、タイで2戦連発と好スタートを切った富樫敬真 [宮崎キャンプ7日目レポート(練習試合 大宮戦プレビュー)]

 

キャンプが折り返し地点を過ぎた7日目は、前日に引き続き午前練習のみに変更となった。明日8日目に今キャンプで初となる練習試合(対大宮アルディージャ)が行われるため、逆算して負荷を下げている。この日は10対10のフォーメーション練習で守備時の連係を確認し、その後にセットプレーの役割をチェック。練習時間こそ約90分と通常通りだが、強度という点では今キャンプで最も低かったかもしれない。

明日はタイキャンプで2試合を行って以来、始動してから3試合目の対外試合となる。大宮戦のゲーム形式についてエリク・モンバエルツ監督は「45分を2本、30分を1本行う」と明かした。テーマは「全員にプレータイムをなるべく多く与えたい」。タイではメンバー編成の都合や負傷者の影響もあり、さっそく90分プレーする選手もいた。しかし明日に関しては、一人あたり最大で60分にとどめる予定だ。

 注目は、この試合がマリノスでのデビュー戦となる外国籍選手たちだろう。ダビド・バブンスキーとミロシュ・デゲネクは1本目での出場が予想され、昨季多くの試合に出場した選手たちと初セッションする。ちなみに、いまのマリノスのピッチ内はグローバル化が進み、公用語は日本語ではなく英語になりつつある。ポルトガル語が堪能な中澤佑二や松原健も指示を出す際は英語を使用し、悪戦苦闘の日々が続いている。リーグ開幕までに外国籍選手とのコミュニケーションという課題をクリアすることも大きなテーマとなる。

トップ下でスタートするバブンスキーは「レッドスターでのシーズンが12月に終わって、長い休みがあった。ようやく明日ゲームがあるということで楽しみ。しっかり準備してきたつもりなので、自分がどんなプレーヤーか知ってもらいたい」と自信を垣間見せた。ここまでの練習を見ていると、ゴールを貪欲に狙う1.5列目のアタッカーではなく、よりパサー色の強いゲームメーカータイプのようだ。本人も「ゴールとアシストなら、アシストのほうが好き」ときっぱり。グラウンダーのボールを受けると、柔らかいタッチでシャープに反転し、前を向く。そこからのラストパスをフィニッシュに結び付けたい。

主にラストパスを受ける1トップに関してだが、明日はウーゴ・ヴィエイラではなく富樫敬真が1本目で起用されそうだ。タイキャンプから別メニュー調整を続けているウーゴ・ヴィエイラは、ここへきてフルメニューを消化できるまで状態を上げてきた。しかしながらゲーム体力や戦術理解度、周囲との共通理解という点では、もう少し時間が必要だろう。外から試合を見ることも重要な仕事で、2本目以降に出場機会がありそうだ。

 

 

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練習試合前日から1トップに入ったのは、タイで2戦連発と好スタートを切った富樫敬真。始動日以降はすべてのメニューを元気に消化し、持ち前のシュート能力だけでなくポストプレーにも磨きをかけている。バブンスキーとはコンビを組んで日が浅いが「ダビ(バブンスキー)は前を向いてラストパスを出せる選手。そこは要求していきたい」とプレシーズン3戦連発に意欲を見せた。

一方、守備面に目を移すと中町公祐と天野純のダブルボランチは昨季最終戦となった天皇杯準決勝・鹿島アントラーズ戦でコンビを組んでいる。中澤佑二、金井貢史、あるいは飯倉大樹にも大きな不安はない。そこに組み込まれるデゲネクと松原健がどのようなパフォーマンスを見せるか。リーダーシップをとることが長所の一つのデゲネクは中澤とともに最終ラインで声を張り上げ、責任あるプレーを見せてくれるはずだ。

松原は宮崎キャンプに来てから体調不良で練習を休む日もあったが、ここへきて状態は上がってきている。中澤や中町との横の連係を確認しつつ、最大のテーマはマルティノスとの縦関係になる。前方にいるスピードスターの長所を引き出すためにも、右SBの役割は重要だ。マルティノスとの関係性について「自分がオーバーラップして前に出たときも、マルちゃん(マルティノス)が戻ってくれる場面は多い。全部戻らなくても、戻る姿勢を見せてくれるだけで相手にとってはプレッシャーになる。まずは監督が求める守備をしっかりさせた上で、チャンスがあればオーバーラップからクロスを上げていきたい」と大宮戦でのテーマを掲げた。前任者の小林祐三の存在は大きなプレッシャーになるが、新たに加わった右SBの新鮮味溢れるパフォーマンスは楽しみだ。

最後に、この試合には正式な契約が発表されていない齋藤学も定位置の左MFで出場する。すでに交渉は大詰めを迎えており、契約更新リリースの日は近いだろう。肝心の本人は練習試合について「実戦から離れているけど、練習はしっかりできている。いろいろなことを確認する機会になる」と落ち着いた口ぶり。マリノス残留を決意した男にとって、昨年の12月29日以来となるゲームは、リスタートの一歩目となる。

 

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