「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

SBの面々における堂々の1番手は金井だ [総力特集/開幕への期待vol.1 : 金井貢史について]

 

 

 開幕ウィークを迎えた。ヨコハマ・エクスプレスは1月15日の新体制発表、翌16日のチーム始動日以降、タイキャンプや宮崎キャンプを含めたマリノスのプレシーズンを総力取材。新チームに生まれ変わる胎動をお届けしてきた。

 ここからがラストパートとなる。怒涛の5週間から見えてきたものを、できる限り出力して読者にお届けしたい。

 第1回の題材は金井貢史だ。開幕戦はどうやら左SBで迎えることになりそうだが「絶対的なレギュラーだとは思っていない。危機感しかない」と自らを鼓舞する。今季で節目のプロ10年目を迎える男は、言葉の端々に強い決意を滲ませた。

 

 


 

 

新チームになって口数が最も増えたのは、この選手かもしれない。始動日以降、練習グラウンドには金井貢史の明るく元気な声が大きく響き渡っている。

ウォーミングアップからルーキーの原田岳や吉尾海夏をイジることでチームの輪に加え、まだ人間関係を構築できていない新加入選手にも積極的に声をかけていく。その一方で先輩選手とも堂々渡り合い、ランニングでは先頭集団を走るシーンが増えた。選手としていよいよ脂の乗り始める27歳らしい振る舞いが印象的だ。

4シーズンぶりにマリノスに復帰した昨季のパフォーマンスについて「全然満足していない」と言う。特に1stステージはチームにまったく貢献できず、出場試合数はゼロ。右SB小林祐三、左SB下平匠という既存選手の高い壁に阻まれ、ベンチ入りすら危うい立場だった。サガン鳥栖で2年間、ジェフユナイテッド千葉で1年間過ごした計3年間はいったい何だったのか。自問自答の日々は初夏まで続く。

下平が負傷離脱した2ndステージに入って一転し、全17試合に出場した。とはいえ、あくまで穴を埋めるといった意味合いが強く、下平不在の左サイドで起用された。チームは後半戦を7勝8分2敗というまずまずの成績で乗り切ったが、表情は最後まで晴れなかった。「(下平)匠くんがけがでいなかっただけ。自分で勝ち取ったポジションではないから」。エリク・モンバエルツ監督の信頼を勝ち取ったとは言い難く、悶々としたまま復帰1年目を終えた。

迎える今オフ、金井にとって大きな出来事が起きた。小林祐三の退団である。レギュラー右SBとして昨季33試合に出場した選手が契約非更新となり、クラブを去った。目標としていた選手からポジションを奪えなかったのに、その選手がいなくなる。クラブとしての総合的とはいえ、追いかける立場の金井にとっては悔しい出来事だった。

「自分が追い出せたわけじゃない。それをできなかったことが情けない。自分は右サイドで勝負するつもりでマリノスに帰ってきた。でも右サイドにはパンくん(小林祐三)がいて、自分は勝てなかった。できればもう1年いてもらって、ポジションを奪い取りたかった」

 

 

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