「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「選手が入れ替わってもマリノスは続いていく。自分が小さな頃のマリノスは強くて、いつも優勝争いしていた。そうなるための1年にしたい」(齋藤) [浦和戦前コメント]

 

 

【試合に向けて】
エリク モンバエルツ 監督

 

「(Jリーグ全体について)1シーズン制に戻るのは良いこと。年間を通じてコンスタントに力を発揮したチームがチャンピオンになる。優勝争いについては、一般的に各クラブの予算規模が大きく影響してくる。予算規模が大きいチームが優勝を争うのは当然のことで、それは世界のどの国のリーグでも同じだ。そういった意味で浦和は今シーズンもJのトップ争いをするだろう。浦和はレベルの高いチームだが、しっかり戦うためにも自分たちが良いパフォーマンスを出す必要がある。ピッチに立てば、予算規模に関係なく選手が力を発揮しての勝負になる。

 チーム状態を評価できるのはゲームだけ。開幕戦でどのようなパフォーマンスを出せるかだ。ここまで選手はしっかりトレーニングに励み、良い準備ができている。選手のメンタル面と姿勢はとてもポジティブな状態だ。指揮を執った1年目は慣れない部分もあって難しかったが、2年目は選手の理解が進み、少しずつ目指しているプレーを出せるようになった。3年目はさらに高いパフォーマンスを出せると思う。我々の強みは動きながらの連動したコンビネーションと、サイドでの突破力を生かすこと。平均年齢が下がり、自分たちの目指しているスタイルを、より出しやすくなったという面はあるかもしれない。

(木曜日の非公開練習について)何かを隠すために練習を非公開にしたわけではない。スタジアムでトレーニングできる環境だったので、集中するために非公開にした。浦和戦に向けて特別なトレーニングはしていない。今後は基本的に非公開練習はやらないと思う。練習ではポジション別にゴール前のプレーをテーマに練習した。あとはセットプレーのトレーニングも行った。天野純は良いキックを持っている。強くて正確なボールを蹴れる。キッカーである彼がゴール前に良いボールを蹴ることが重要になる。自信をつけているので、これを続けていってほしい。

(1トップとボランチのファーストチョイスは?)決めたけどいまは言えない(笑)。大事なポイントとしては、一つのポストに複数の選手が競っているということ。最終的には一つのポジションに一人を起用することになるが、同時に違う選手への信頼を示すことも重要だ。そして彼らは途中から試合に入ったときに、その役割をしっかり果たしてほしい。私の中に絶対レギュラーという選手はいない。トレーニングの中でクオリティを示し、試合で証明しなければならない。

(浦和について)浦和のベースは変わっていない。システムも同じ。ただ、彼らは2チーム分をローテーションさせようとしている。柏木や槙野が出るときと出ないときがあり、組み合わせによってプレーの内容に少し変化が生じる。でも基本的な考え方は常に変わらない。我々は相手の高い位置からのプレッシャーをかわすためのトレーニングをしている。そこがポイントになるだろう。最初からビッグゲームがあるということで、重みのあるスタートになる。良い結果を出せればポジティブな対戦順番ということになるだろう。ポジティブだったと言えるようにしたい」

 

MF 10 齋藤 学

「オフシーズンにいろいろなことがあった中で、自分もマリノスで戦うことを決めて、自分から10番への変更を希望して、チームからキャプテンを任された。チームがうまく回るようにやりたいし、そのためにはみんなの力を合わせて、まとまることが大事。キャプテンになったから何か変わったことをするわけではない。(中澤)佑二さんはじめ、副キャプテンが支えてくれている。でもキャプテンだからといって試合に出られる保証はない。若い選手が多くいて、エネルギッシュでフレッシュなパワーを感じる。このチームでどれだけできるか楽しみ。状態が悪くなったときに僕たちが支えていければ。一体感を出す作業が大事で、強いチームにはそれがある。

(浦和対策について)ビデオを見たけど、ACLやゼロックスを見るかぎり去年とあまり変わっていない。ウチの外国籍選手は浦和のやり方を知らない部分があるので、試合中にズレが生じる場面もあると思う。しっかりコミュニケーションをとりながらやりたい。鹿島とのゲームを見ると、中盤でのパスミスからカウンターを食らっていた。そういうところでマリノスは仕留められる力を持っているはずホームで開幕戦を戦えるし、お客さんもたくさん足を運んでくれると思うので、一体感を持って戦いたい。

 力はまだまだ足りないけど、それだけで勝敗が決まらないのがサッカー。選手が入れ替わってもマリノスは続いていく。自分が小さな頃のマリノスは強くて、いつも優勝争いしていた。そうなるための1年にしたい。開幕戦で浦和を叩けば自信になる」

 

DF 22 中澤 佑二

「新しいチーム、変わろうとしているチームが最初に躓くと、そのあと転がってしまう可能性がある。新しいチームだからこそ一歩目が大事。しっかり踏み出したい。浦和はACLからの連戦で疲れている部分があると思うので、前半圧倒したい。守備から入ると相手が息をついてしまう。最初から圧力をかけていくことが大事。(プロ19年目だが)そういうことはまったく意識していない。これまで同じように準備して開幕を迎えるだけ」

 

FW 17 富樫 敬真

「去年は開幕スタメンではなかった。だから今年に入ってからは、それが一つの目標だった。去年の開幕戦はホームで勝てず、その後もホームであまり勝てなかった。それは開幕戦で負けてしまったことが原因の一つだった気がする。だから初戦は大事。内容も大事だけど、結果がすべて。その中で自分がやるべきことをしっかりやりたい。開幕戦の緊張感や難しさはあると思うけど、集中し切れていれば関係なくなる。練習試合でも常に公式戦を意識してやっていた。

(プレシーズンの練習試合は6戦5発と好調だが)練習試合で点を取る癖を作りたかった。その良い流れを切らさず開幕を迎えられるのは大きい。去年は新人という立場で、仲間との信頼関係を築いている途中だった。『富樫敬真にパスを出せば点を取ってくれる』という潜在意識を作るためには、やっぱり信頼関係を築くしかない。それは点を取ることもそうだけど、ポストプレーなどの総合的な部分が大事。スタッフやチームメートとの関係を高められたことが練習試合での得点につながっている。

 今季は動き過ぎないことを意識している。コーチにそれを指摘されて、たしかに動き過ぎていると感じた。いままでは動き過ぎて、最終的にきつい状態でプレーしていた。たくさん動いて流れを作りたいと思っていたけど、逆に止まってみたら相手が動いて自然とフリーになった。ゴール前のパワーの使いどころももっとうまくやりたい。いまの状態で二桁得点取れないなら、それは成長していないということ。試合に出ていれば取れると思っている。(二桁得点は)マスト」

 

 

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MF 14 天野 純

「去年の終盤に試合に出て、天皇杯では点を取ることができた。それでブレイクしたと思われているかもしれないけど、自分はあまり浮かれるとうまくいかないタイプ。しっかり足下を見つけて、キャンプから毎日を大切にしてきた。チームとしてやることは去年とまったく変わらない。あとはどれだけ成熟させていけるか。練習の質が上がって、みんなギラギラしている。ポジション争いもし烈だけど、自分がレベルアップするには競争が必要。メンタル的には充実したプレシーズンを過ごせた。準備万端なので、あとは思い切ってやるだけ。

(ボランチについて)やっていくうちに板についてきたというか、最初は守備のところの感覚の違いに苦労した。今年はタイで1試合だけトップ下をやっただけで、そのあとはずっとボランチをやっているボランチのほうが守備をして、ゲームを組み立てて、そのあと前へ行くというふうにいろいろなことがあるので、やりがいを感じている。後ろでビルドアップしつつ、スプリントで相手ゴール前に入っていくことを意識している。それができたら相手にとって怖い選手になる。

(セットプレーについて)最近、2012年や2013年のマリノスのゴール集を見て、やっぱりセットプレーからのゴールシーンが多かった。キッカーは常にシュンさん(中村俊輔)で、自分はまだまだ敵わない存在。でもセットプレーは試合を左右する大きなポイント。その責任を持たないといけないし、それを蹴るためにしっかり練習してきた。開幕戦に向けて、今週はFKとCKの感覚を調整したい。思い切って蹴れば天皇杯の新潟戦のように決まる。自分の左足を信じるだけ。

 今年も開幕戦に出られそうなので、去年よりも成長した姿を見せたい。浦和は前からプレッシャーをかけてくると思うので、そこで自分とキー坊(喜田)がビビらず、逃げずに相手をはがして、前にボールを運びたい。それによって前への推進力が生まれる。相手のシステムは特殊なので、特に守備面は擦り合わせが必要。そこは試合中もコミュニケーションを取りながらやっていきたい」

 

FW 20 マルティノス

「すごく良い状態で開幕を迎えられる。去年はシーズンが開幕してから加入して、新たな環境ややり方に慣れなければいけず難しかった。今年のほうがスムーズだ。自分がどのエリアでプレーするかで個人的な結果が変わってくるだろう。日本に来るまで、自分は右ウイングとしてプレーしていた。前に残って攻撃に専念していた。それができれば数字もついてくる。でも中央や戻ってのプレーが多くなれば、それは難しくなる。でも監督が求めることをやりつつ、チームのためにプレーしなければならない。

 浦和戦が重要なことはわかっている。ここで良いスタートを切れば勢いに乗ることができる。でも浦和はサッカーをよく知っているチーム。相手を好きなようにプレーさせてしまえば危険だ。できるだけ高い位置からプレッシャーをかけて、相手から自由を奪いたい。自分たちがボールを持っていれば負けることはない。彼らの攻撃力は素晴らしいが、一方で守備面には付け入る隙がある。自分がゴールした去年の最終節のように」

 

MF 5 喜田 拓也

「キャプテンはみんなの総意によって託されるものだと思っている。今年のキャプテンが(齋藤)学くんになったということで、チームを引っ張る姿勢やサッカーに対する姿勢はみんなが認めている。その中で自分が副キャプテンに指名されたけど、ピッチに立つ以上は常に責任を背負っていたので気持ちが大きく変わることはない。ただ、今年は周りを巻き込んで、チームを良い方向に進むためにパワーを使いたい。自分がやりたいことを多少我慢しても、チームに貢献したいと思っている。

 背番号5はマリノスにとって意味のある番号。『5番=喜田』というイメージになるようにやっていきたい。チームとしては監督3年目でやりたいことは整理されている。若い選手が多くなって、ギラギラした集団だと感じる。浦和は去年の結果から見ても、間違いなく力のあるチーム。そのチームとシーズンの一発目で対戦できるのは、何かのメッセージかもしれない。マリノスが大きくなるために、年間勝ち点1位のチームと対戦できるのは素晴らしいこと。失うものは何もないので、恐れることなくチャレンジャー精神で真っ向勝負を挑みたい」

 

DF 13 金井 貢史

「自分のテンションの高さは開幕戦でも最終戦でも同じ。いつも燃えている。いまは(下平)匠くんがけがをしているし、自分が絶対的なレギュラーだとは思っていない。開幕戦からしっかり結果を残すことで、右でも左でもファーストチョイスになれるようにしたい。去年後半のアドバンテージを大切にしつつも、ここからライバルを突き放すか、それとも追いつかれて抜かされるのか。それは自分次第だと思っている。危機感をしっかり持って、パンくん(小林)から受け継いだ13番に恥じないプレーをして、自分なりの13番の色を見せたい。

(齋藤との縦関係について)去年の後半は左でずっとコンビを組んでいたし、育成組織からずっと一緒にやっていた仲でもある。キャンプ中は部屋がずっと同じで、海外サッカーを見ながら良いシーンについて話し合ったりもした。阿吽の呼吸というか、見なくてもどのあたりにいるかわかるようになってきた。学がマリノス最大のストロングポイントなのは間違いないし、一番警戒される。それを生かすも殺すも自分次第。守備ばかりさせたら意味がないし、うまくコントロールして攻撃で良さを出させたい。開幕戦はとにかく結果。カッコ良くなくても、泥臭く勝てばいい」

 

GK 21 飯倉 大樹

「今年はチーム全体が若返って、新しく選手が入ってきて、レベルの近いポジション争いになっている。プレシーズンはみんな前向きに取り組めていた。チームとしてやってやろうという気持ちが強いので、それを最後方からサポートしたい。浦和のほうが完成度は上だし、力としても上かもしれない。でも内容と結果が同じになるとは限らない。勝つことによって自信になるし、それが次につながっていく。自分たちがしっかり戦えるというところを見せるゲームにしたい」

 

MF 33 ダビド バブンスキー

「フィジカルコンディションを含めて良い準備ができている。ようやく開幕を迎えるということでテンションが上がっている。前向きな雰囲気で練習に取り組み、皆とコミュニケーションが取れている。一つのチームになってきていると感じる。対戦相手のことは周りから聞いているし、浦和は常に上位にいるチームとも聞いている。他のチームとは違うシステムや戦術を採用していることも聞いた。前線のメンバーとは常に話し合いながら、いまは無理のない関係でやれている。言葉なしでもお互いの動きがわかるようになってきた。自信を持って臨みたい」

 

DF 27 松原 健

「宮崎キャンプの前半に体調を崩してしまったことを除いて、ここまで良い準備ができている。開幕戦はスタートダッシュを決めるための重要な一戦。勝てば波に乗っていけるし、躓くと今後に響いてくる可能性もある。移籍してきた身なので、チームとしてはもちろん個人としても重要なゲームになる。移籍加入したのに試合に出られず結果を出せないのでは、その程度かと思われてしまう。それを良い方向に覆したい。しっかりプレーしてチームに貢献できるところを見せたい」

 

DF 34 ミロシュ デゲネク

「この開幕戦は自分が日本にやってきてから最初のゲームになる。ここまで良い準備ができたと思うので試合が楽しみ。浦和の試合は何試合か映像で見た。いいチームだと思うが、サッカーはやってみなければわからない。相手を尊重しながら戦うが、まずは自分たちがしっかりプレーすることが大事になる。(中澤とのコンビネーションについて)お互い理解度を深めながらできている。もっと良くなるには時間がかかるかもしれないが、試合が始まっていけば連係はさらに深まる。自分はチームを助けるためにやってきた。そしてサッカーは個人スポーツではなくチームスポーツだ。チームで力を合わせて勝利を手にしたい」

 

 

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